約 1,995,426 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/173.html
ある日ゆっくり達は突然幻想郷の外へ飛ばされた ゆっくり達がたどりついた世界は全く異質の世界だった あるゆっくりは森の中にいた うっそうと生い茂る草木の中には見たことのない花や果実があった のんびりしていると近くに服を着て人の言葉をしゃべる猫があらわれた ゆっくりは言った 「ゆっくりしていってね!」 するとその猫は不思議そうな目でゆっくりを見つめていた しばらく考えていたが猫はゆっくりを持ち上げどこかへ連れて行こうとした 猫は何かをブツブツ言っていたがゆっくりが理解することは無かった しばらく猫はゆっくりを持ったままどこかへ向かっていたが、猫の腹がグゥと空腹の音を鳴らした 猫は今自分が持っているものの臭いを嗅いだ 甘くていい臭いだった 「ゆ!れいむをたべないでね!!!」 ゆっくりはそういったが猫には通じず、大きな口に放り投げられた 猫はそのゆっくりの味に舌鼓を打った 「うめぇ、うめぇのよォ」 その猫はまたゆっくりを探したが見つかることはなかった あるゆっくりは数匹一緒に幻想郷では考えられない街にいた しかし出現した場所が場所だった 後ろにいた少女に一匹が鷲づかみにされた 「ゆっくりしていってね!!!」 ゆっくりは緊張感も無く、いつもの言葉を言った だがその少女は腹が減っており、ゆっくりに噛み付いた 齧られるのではなく、中身を吸い取られるようにしぼむゆっくり それをみたゆっくり達は一目散に少女のいる路地裏から逃げ出した しばらく飛び跳ねると、夜の公園にたどり着いた もちろんゆっくりはこれが公園だとは分からない そしてふとゆっくりが後ろを振り向くと、黒いコートしか着ていない背の高い男がいた その男はゆっくりを不思議そうな目で見ている ゆっくりは男に向かって言う 「ゆっくりしていってね!!!」 男はぎょっとしたような表情になり、ゆっくり達を3匹ほど持ち上げる 男は何か言っていたがゆっくりには理解できない さっきのこともあり、ゆっくりは仲間を救おうと男にぶつかる しかし男は無反応、当然である 男はぶつかてきたゆっくりも拾おうとするが生命の危機を感じたゆっくり、その場から逃げ出してしまった 抱えられたゆっくりはその逃げだしたゆっくりを非難する 男はゆっくりたちが「ゆっくり」という単語に敏感に反応することを知り、 男がお前達はゆっくりできるぞと言うと、ゆっくりは無邪気に喜んだ その後、男の黒い体から出てきた口にゆっくりは飲み込まれた 男は甘い味がするのに驚いていたがゆっくりには関係ない事だった 一方逃げ出したゆっくりは公園の外に向かって跳ねていた もうすぐで出られる…と公園の出口に向かって飛んだ瞬間、そのゆっくりは真っ二つにされた ゆっくりの前にはナイフを持った邪気眼がいた その邪気眼はゆっくりに 「まともじゃないよな、お互いさ」 と言い捨てると、いずこへと去っていった あるゆっくりは草むらにいた 草むらにいると少年にボールをぶつけられた ボールをぶつけっれたゆっくりはボールの中に入り込んで自力では出れなかった 「ここからだして!おうちかえる!!!」 と叫んでみても無駄骨にしかならない そしてしばらくした後ゆっくりは外に出された ゆっくりの正面には今まで見たことのない生き物がいた 訳の分からないままゆっくりは混乱して動けなかった そんなゆっくりを正体不明の生き物は拳で殴りつけた 反撃をしないのをいいことに、何度も何度も殴りつけた そのうちゆっくりの皮が破れ、そこから餡子が溢れ出し、ゆっくりは息絶えた その生き物の拳がグローブみたいになっていることはもう覚えている必要はないに違いない あるゆっくりは箱の中にいた 箱は狭く、上手く動けない しばらくすると、箱の上部分が開いた 「ゆっくりしていってね!!!」 ゆっくりはいつもの台詞を吐いた しかしそれも無駄、ゆっくりは気づいた時は男の口の中だった 「うまい!うますぎる!」 一人の潜入工作員が喜んでいた あるゆっくりは荒野にいた その荒野は鉄やコンクリートがたくさん埋まっていた しかしゆっくりには見慣れない光景である ふと、ゆっくりの近くで大きな音が聞こえた その音はバイクのマフラーの音であることをゆっくりたちは知らない その音はゆっくりに近づいているようだった ゆっくりはいつもの言葉を言おうと思った 「ゆっくりしていtぶぎゅぅ!!?」 ゆっくりは猛スピードで迫りくる車輪に踏み潰された そしてバイクに乗っている男達は 「ヒャッハッハッハッ水だ―――っ!!」 と叫びながら奪った水を浴びていた あるゆっくりは空間と共に粉みじんにされた あるゆっくりは探偵の腹の中に納まった あるゆっくりは床が抜けて海へ大量の人々と共に落とされた あるゆっくりはピンクの悪魔に吸い込まれた あるゆっくりはかもされた あるゆっくりは光の巨人に踏み潰された あるゆっくりは宇宙空間に飛ばされ考えるのをやめた あるゆっくりは改造されてメカゆっくりにされ少年にぼうっきれで叩かれ動かなくなった あるゆっくりはいた星をメテオで砕かれ滅亡させられた あるゆっくりは純粋酸素を吸って動けなくなった あるゆっくりは海の底に沈められた あるゆっくりは朝日と共に灰になった あるゆっくりは… あるゆっくりは… あるゆっくりは… あるゆっくりは家の中にいた しかしその風景はどこかで見覚えのある風景だった 「ゆ!ここならゆっくりできるよ!!!」 ゆっくりは机の上においてある味噌汁をひっくり返して空腹を満たしていた するとどこからか男が現れゆっくりに声をかけた その男の目が殺気に満ちていることは言うまでも無い ゆっくりは当然の顔でいつもの台詞を吐いた 「ゆっくりしていってね!!!」 END by GIOGIO このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3510.html
*fuku5204の表示を調整したものです。* *虐待少な目です* *とても良い目に合うゆっくりがいます* *とても良い目に合うお兄さんがいます* 踏まれてゆっくり とてもゆっくりできる場所で、今までに誰も見たことのないゆっくりが居る。 目撃されたと噂されている、その時点で語るに落ちてはいるのだが、つまりは 新種のゆっくりだろう。 ゆっくりづての話ではあるが、暇だった私はここを訪れたのだ。 人の立ち寄らぬ山奥。ゆっくりがゆっくり出来る、ここ一帯の中でも最高のゆ っくりプレイスがあると、ゆっくり達は言っていた。そうは聞いていたが、まさ かこれほどまでにゆっくりしているとは思いもよらなかった。 最も近隣の村から数えて、約1万5千ユクリード(1ユクリードは標準的なゆ っくりが一跳ねする程度の距離)程はあるのだろう。人も踏み込まぬ聖域と化し たこの場所は、谷と急斜面が入り組んでいることもあり、獣も少ないのだろう。 華咲き乱れ実りは熟し、穏陽差し込み抜ける風蒼し。豊穣の女神が2ダースくら い乱舞しているのかと思わせるような、ゆっくりの楽園であった。 世話をしているゆっくりを共に連れてきたのだが、かつて見せたこともないほ どゆっくりした表情を浮かべている。 「わかるよー」 しきりに頷いているのが、なんかずるい。 その「誰も見たことのない新種のゆっくり」は、ひっそりと木陰で涼んでいた。 「ゆっくりしていってね」、と挨拶する。『ゆっくりしていってね!』、そう返 事が来るものとしか思っていなかった私は、衝撃を受けた。 「ああ、是非ゆっくりして行ってください」 礼儀正しい!? 「わかるよー、ゆっくりしていくよー!」 それに比べてうちの子は。しかし、妙に嬉しそうだな。「らんしゃまを探す」 「見たことの無いゆっくりと友達になる」。目的の半分を消化したのであるから、 わからないでもないが。実を言うと、ただ山を歩き回るだけでなく、こいつのお 婿さんを探してたのである。新種が見つからなかった場合の、精神的口実に備え て。両方やらなければならないというのが、ゆっくり飼い主としては辛いところだ。 「よろしくね、ちぇん。それと、おね……にいさん?」 「おねえさんだ馬鹿者」 近寄って軽く踏みつける。 短めの髪に活動的な雰囲気を身にまとった私は、まあ男性に見られることも少 なくないのだが、とはいえ乙女の純情を踏みにじった対価は、自分が踏みにじら れることで支払わせるしかないだろう。 ちなみに山林を踏破するためにくるぶしまで隠れる丈夫なズボンを履いて来た ため、躊躇はない。 小娘が好んで着るようなひらひらとしたスカートであっても、躊躇はなかった だろうが。 まあそんな服飾は私には似合わないんだよなと――背中に忍び寄りつつある嫌 な予感から逃避するかのように、足の下に居るゆっくりとやらをやさぐれた心の 傷だけぐりぐりと踏みにじる。耳に良い影響を与えないような音響は、脳の片隅 で遮断しているので、例えばゆっくりみたいな変な物体の泣き叫ぶ声とかそんな 音があったとしても、何も聞こえない。あーあー、きこえなーい――考えつつ、 多分20分くらい続けて、諦めた。 「で、ちぇん。これ何ゆっくりだ?」 「ゆっくりはゆっくりだよ? わかるよー?」 小首をかしげる猫又なゆっくり。ううむ、かわゆい。近くの木に寄りかかり、 頬をつい、となぜてやる。 「たとえばお前はちぇんだな。向こうではしゃいでいるのは、まりさやれいむだ。 さてこいつは何ぞや?」 「むむっ! うーと、まりさ……いやぱちゅりー……? わ、わからないよっ!?」 だろうなあ。視線をさまよわせて悩み込んだちぇんを尻目に、観察してみる。 まず目につくのは飾りの多さだ。まりさの帽子やれいむのリボンなど、ゆっく りの飾りの切れ端を、ドスまりさもかくやと言う程に髪に飾りつけている。黒髪 は5分で刈り上げ、黒目をまとうまつ毛の切れは、なかなかに鋭いものを思わせ る。ゆっくり特有の下ぶくれはなく、全体的に精悍な顔つきだ。 こんなところより公園のベンチでツナギを着たまま座っているのがお似合いな 印象を受ける。あくまで印象だけだが。赤く染まった目元に残る涙の後が、過去 にあったであろう悲惨な不幸を思わせる。きっとたぶん明かに確定的に、今日以 前の過去にひどい仕打ちに遭遇した、その名残なのであろうな。 つーかもしかしなくても、こいつってさ。 「はい、自分は『ゆっくりおにいさん』です。ゆっくりしていってね。もう痛い ことはゆっくりやめてね!」 誰何の疑念が声に出ていたらしく、そいつは礼儀正しく自己紹介した。 「ていうかお前ゆっくりじゃないだろ。地面に埋まって、首を出しているだけだろ!!?」 「はっは、ばれましたか。自分はこうやってゆっくりとしむぎゅ」 勢いをつけて顔の中心を踏み抜く。 バカバカしいぞ本当。乙女がこのためだけに、一体何日の野宿を重ねたと言う のか。その柔肌を幾度の雨露に曝してきたと言うのか。 「い、痛いですっ!?」 「黙れ馬鹿」 自分がおろかであることを否定するかのごとく、目の前の「ゆっくり」を踏みに じり続ける。 「あ、あまり上品だとは言えませんよっ!?」 「もし自分の精神安定のためだけに他人を攻撃するとしたら、その人格は社会から 否定されることだろう。それほどまでに忌むべき行為であろうな。が、このまれに 見るゆっくりプレイスにいるのは、どうやら私と、とてもゆっくりしているゆっく りだけのようだ」 「いや自分は」 「そして人里では野良ゆっくりを攻撃することは村全体への間接的奉仕となるため、 この行為はもうまったくの慈善活動だ。やれやれ、自己を省みない奉仕の心が、ど うやらここでも遺憾なく発揮されてしまったようだな。本来ならば何らかの対価を 以て充当すべき行為ではあるが、その支払いに応じてくれるような存在は、山二つ を超えてなお存在しないのであろうな。我が事ながら頭が下がってしまって、もう 諦めて力任せに足を踏みにじるくらいしかやることがない」 「その足の下には哀れなおにいさんが居るんですけどねっ!?」 「もしお前が『おにいさん』とか言う、人間に準じる程度の小汚い種族であるならば、 何かそれを証明出来るよなあ。具体的にはこの行為への対価だが。いやいや何とは言 わないが、まあ亜人間種であることを証明することの出来る程度には価値のある、社 会経済を発展させる上で極めて重要な位置づけを占める物とか」 「お、お金なんて持ってませんんんんんっ」 例え身につけていたとしても、私には掘り起こせないのだろうが。 「おやおや、声はすれども人の姿は見えず。果てさて、面妖なことじゃなー。ちなみ に棒読みだ。あまりにも感情が入りすぎて棒読みに聞こえないかもしれないが、それ は内面からにじみ出る憤怒によるものであるが、私はちゃんと棒読みを心がけている のだぞ。ぐりぐり」 「やべでえええええ」 空が青いなあ。帰るの面倒だなあ。どうやって帰ろうかなあ。らんしゃま見つかる かなあ。見つかるといいなあ。 「自分は、自分は、……虐待お兄さんなんですぶううううう」 ふと、ちぇんを見やる。どうやら馴れないことを考えていたからであろうか、寝て しまったらしい。ゆっくりとしている夢でも見ているのだろう、ぴくぴくと反応する しっぽがほほえましくて、ついつい足にも力が入るというものであった。 「わかるよー! ……わかー?」 先ほどのゆっくりプレイスから、斜面を少しばかり上った所。 土中に埋まっていた、自称ゆっくりおにいさんこと元虐待お兄さんから、労働及び 赤く汚れた靴の対価として借り受けた――巻き上げたわけではない。あくまで有利な 状況で結んだ賃貸契約に過ぎない――、小さめの屋敷とでも言えるくらいに頑丈で広 い作りとなっている山小屋で人心地ついていると、目覚めたちぇんが不思議そうに見 回していた。 「さっきのゆっくりはね、ゆっくり出来ないゆっくりだったんだ」 「わ? わからないよー?」 眉を寄せるちぇんに――ついでにしっぽもくるりと丸まっている――、ゆっくりと 説明をする。 土中に埋まっていた変人は、つまるところ虐待に飽きた元虐待お兄さんであった。 人との交流を避け、来る日も来る日もゆっくりを虐待していたため、一切の新鮮味が 無くなってしまったのだという。生きる糧を失った彼は、ゆっくりとして生きること で逆にかつて持っていたゆ虐の精神を取り戻そうと考えたそうだ。ところが何の因果 か、彼にはゆっくりをゆっくりさせることの出来る才能があったらしい。自ら土に埋 まりながらも、ゆっくりに排斥されることなく、珍しいゆっくりとして認識され、慕 われたのだと言う。各種の飾りはその慕情の証であったのだろう。とは言え食事や生 活など何らの考えなく埋まった彼にとって、ゆっくり達からの援助無くして生きるこ とは不可避であっただろうことも、想像に難くない。 ゆっくりとの共生のために、彼女らに知恵と知識を与えるしかなかった彼の心境は、 いかなるものだったのだろうか。もはやゆ虐の民としての誇りは失われたのであろうか。 ここで私が出来ることは、ただ一つ。彼の遺志を継ぎ、ゆっくりを虐待することで しかない。私は特にゆっくりの虐待が好きなわけではない。だが彼が失った誇りと魂 を昇華させるために、あえて。そう、あえて、なのだ。……「まあどうでもいいか」 と思えることをせねばならないんすよ。主にらんしゃまが見つかるまでの暇つぶしく らいの感覚で? まあ、暇だし? ぶつぶつ。 「わかるよー! らんしゃまを探すんだね! 早く行こうよー!」 話聞いてないよな、こいつ。 「うん、今日は疲れたし、軽く近くを見て回ろうか。ご飯集めなきゃね」 「わかるよー」 ちぇんは、ぴょいんと私の肩に飛び乗ろうとして、目測を誤りずり落ちた。 「やっぱゆっくりって可愛いなあ。虐待するの面倒なんだよなあ。台詞考えたり、濁点 付けたりするのが特に」 「ゆ? おねえさん何か言った?」 「いやいや、ただ誰か本当に状況と種族ごとに分類した台詞データベース構築して関連 用語抜き出せると楽でいいんだよなあとか、突然閃いただけだよ」 どういう意味なのかは自分でもわかんない。わからないよー。 「やあおねえさん。おや、着替えたんですか? スカート姿も似合いますね。ゆっくり していってね!」 「「「ゆっくりしていってね!」」」 元虐待お兄さんと、その周りで一緒になってゆっくりな歌を歌っていた大小様々なゆ っくり達が、私たちを歓迎した。遅めの昼食を終えた私達は、再度このゆっくりプレイ スへと赴いたのであった。小屋を借りた手前もあるし、作りすぎた昼食の差し入れに来 たのだ。普段ろくな物食べてないだろうしね。べ、べつに、あまりにもみすぼらしいと か、哀れすぎるとか、変なにおいが気持ち悪いとか言う理由じゃないんだからねっ!? ……言い訳完了。これで誰も、こいつがみすぼらしいとか哀れだとか変なにおいがす るだなんて、ひとかけらも思わないだろう。 ちなみにスカートに履き替えたのは、さっき男と間違えられたことが悔しいからなど では決してなく、小屋周辺に限ればとても穏やかな地形で、過ごしやすいことが判明し たからで、決してさっき男と間違えられたことが悔しいからではないのだ。大切なこと なので二回言った。ふう、言い訳完了。 ……なんだか言い訳してばっかりだ。 「細くて白い足がとても綺麗ですね! こうしてみるとまるで女の子のように見えぶぎゃっ」 「黙れ馬鹿。ぐりぐり」 「やべてー! ていうか、見えちゃいますよ!?」 「ん? 何が?」 「え、気づいてない? まじで? 気づいてないなら見ちゃいまぎゃあああああ」 目を開けた瞬間を狙い、かかとで踏み抜いた。まあこれくらいにしといてやろう。 「お、おねーさんゆっくりしていってね!?」 「ゆっぐりでぎないよおおお!」 周りからゆっくり達の悲痛な声が聞こえてくる。そういえばゆっくりがいることを、 しゃっきりぽんと忘れていた。 「ああ、大丈夫だよ。こう見えても私はね、このお兄さんとは仲がいいんだ、ほらこう してご飯を持ってくるくらいに」 差し入れを見せて、敵意がないことを示すと、途端にゆっくり達は周りに集まって来 た。ていうか地面に置いた土産に群がってやがる。 「ぐううう、めがあああ、ぐ、ぐぎぃ、くろ……え、ご飯くれるの? 俺に? まじで?」 「まあな。家くれたし。あ、ゆっくりいくつか貰ってくから」 「うん、わか……今なんて?」 「おーいおまえら、それはこいつのご飯だぞ、我慢しとけ。代わりに、そうだな、家に 連れて行ってやろう」 「「ほんと!? ゆっくりできる!?」」 「え、なんて言ったの? ねえ何か変な事言わなかった? ねえねえ!?」 その場に居たゆっくりは、れいむ、まりさが1匹づつ、赤れいむ、赤まりさが3匹づつ。 多分ではあるが家族なのだろう。 「わかるよー、ちぇんと一緒にゆっくりするんだねー」 肩から飛び降りたちぇんが、早くもゆっくり達と追いかけっこをして遊び始める。 その間に私は元虐待お兄さんから小屋の作りや道具についてレクチャーを受ける。 「えーと、何かするんですか? 黒ですか? そのゆっくり達を”可愛がる”んですか? ひょっとして黒ですか? ところでそのスカートの下に身につけていらっしゃるであ ろう衣服の色彩を一言で言い表したとしたならば、万人が万人諸手をあげて『黒』と答 えるであろう色で間違いはないですよね!?」 会話の間に執拗なまでに挟まれる漆黒なる台詞を流しながら、ようようにして聞くべ きことのあらかたを聞き終えた私は、何かを期待する変態の眼差しに、残念な事実を告 げてやる。 「ジャージ」 「うがああああああああああああああああああああああああああああああああ」 おお、物の見事に失望してやがる。あわれあわれ。 土産は簡単な野草サラダだ。地面に置いた皿に軽く盛っておいた。こうしておけば、 お腹が空いたときにでも食べられるだろう。 「さ。みんな帰るよ」 「わかるよー!」 「まっちぇにぇ! ゆっきゅりかえりょうね!」 「ゆゆっ、待つんだぜみんな、ここにゆっくり出来るごはんが落ちているぜ!」 「「「ゆっきゅりー! むーちゃ、むーちゃ、しあわしぇー!」」」 「ってそれ俺のおおお! 半年ぶりの、まともな飯がああああ!」 「おにいさん、ここはれいむ達のゆっくりプレイスだよ! ゆっくり出来ないなら出て 行ってね!」 ですよねー。 まあどうせ、こいつは動けないし、どうあがいても食えなかったのだろうけど。話に 聞いたほど慕われてはいないみたいだし。むしろおもちゃの扱いを受けているんじゃな いか? 飾りも、親愛の証などではなくて、所有権の主張だったりして。 「もう行くよー」 「「まって、まってにぇ!」」 陽の傾いた森の中、ゆっくりの速度に併せて家路に付くのもオツな物かもしれない。 後ろから、明日は何も履かないで来てねぇぇと言う誰かの魂の叫びが聞こえた気がす るが、多分気のせいだろう。あいつの名前は今から”変態”に決まったことは、だから ただの偶然だ。変態なんだからそんな不条理も許されるのだ。がんばれよ、変態。 小屋の改装――といっても大してすることもなく、動きにくくなっていた装置に油を 差したり、簡単な掃除をした程度だ――を終えた頃だろうか、遊びつかれて寝ていたゆ っくりの家族が起きだした。 気配はすれども、ゆっくり独特の発声が聞こえてこない。声の出ないよう、彼女達が 寝ている間に、口に布を詰め込み、塞いでおいたからだ。 ちぇんは別室で寝かしつけているので、防音に優れたこの小屋の中では、大声を出し たところで気付きはしまい。これは、虐待に馴れていない私が、不愉快にならないため の処置だ。 「まあわざわざ虐待する必要なんてないけど、ものは試しってやつで」 誰に言い訳するでもなく、とは言え私を第三者の視点で見ている者などは存在し得な いのだから、自分に対して言い訳をしているのは確定的に明らかなのだが、それはさておき。 異変に気付き恐慌に陥るゆっくり達に向かって、私は説明を始めるのであった。 「諸君。お気づきのとおり、君たちは今声が出ない。なぜなら、私が『ゆっくりできな くした』からだ。そう、私は実は、美しく麗しい『ゆっくりできない』お姉さんだった のだ。これからの諸君らの命運は辛苦に染まることになるだろう。ここで死ぬまで私に 蹴られ、殴られ、辱めを受け、子を為して子に食されるのだ、例えるとするならばだが。 諸君らは標準的な被虐ゆっくりとして生きることになるだろう。ゆっくりの知能でこの 部屋を脱出することは不可能だから、もし私が愛想を尽かしたとしても、諸君らはここ で餓える以外の選択肢を持ちようがないのだ。諸君らが私に対して、何らかの延命措置 を述べたいと言うのであれば、私を満足させる行動を以って請願する他に、どういった 手段が取れるだろうか。否。そもそも諸君らは……えい」 親ゆっくりが体当たりをしてきたので、自分でも意味不明であった演説を中断し、踏 みつける。口が塞がっているんだが……踏みつけた足を通して、悲鳴だか呻きだかが漏 れてくる。おお、愉快愉快。 「説明が悪かったか。ええとだな、つまり、お前達は『一生ゆっくりできない』と言う ことだ。私に逆らうと」 ゆっくり達を舐め回すように観察する。未だ状況を理解できない赤れいむ。期待の眼 差しを親に向けている赤まりさ。我関せずとばかりに寝ている赤れいむ。 「赤んぼう可愛いね。でも体当たりされて足が痛いんだよね。むしゃくしゃするから、 よし、潰そう」 踏みつける対象を、親まりさからねぼすけの赤れいむに変更した。 「あ、これ面白い。足の裏で、今にも潰れそうな体を、必死にひねって逃げようとして るんだよな。その蠢いている感触がこそばゆい。あと一押しで皮が裂けて、腐った芋の ようにぶにゃりと崩れそうなんだよね」 親達の体当たりがより強くなる。だが気にする程ではない。 「きっと痛いなんてものじゃあ、ないよなあ。大きな石で体を潰されている感触かな? 丸太に皮の端が挟まって、そのまま丸太の下敷きになる見たいに。餡子が、ゆっくり、 ゆっくりと外側へ移動して行くのって、とても痛いんだろうねえ。人間で言うと、皮膚か ら剥離した骨や筋肉が、砕かれながら搾られているような物だしねえ。可哀想に、まだ小 さい赤ちゃんだと言うのに、私に反抗するゆっくりなんぞを親に持ったばかりに!」 絶命寸前であろう赤れいむを親に見えるよう、足を移動させた。後頭部を押付けている ため、親と対面しているのはぱつんぱつんに膨張し、今にも張り裂けようとしている赤れ いむのいびつな顔であろう。内容物によって限界まで引き伸ばされた皮は、奇妙な笑み以 外に表情を浮かべることは出来ないであろう。横長に膨らんだ赤れいむの左右で、こぼれ 落ちてしまうのをかろうじて堪えているうつろな眼球は、果たして何かを映してはいるの だろうか。空気の詰まった紙風船のように、容易く裂けてしまうであろう赤れいむのその 命を握っているのが誰であるのか、さすがのゆっくりであっても理解出来たのだろう。親 ゆっくりは赤ゆっくりに駆け寄り、助け出そうと健気に私の足を押し返す。 私に反抗しないこと、これからする説明をよく聞くことを理解させた上で、解放する。 瀕死の赤れいむに、言葉を掛けてやることも出来ない家族。ほお擦りすら余命を縮める行 為なのだろうと、ゆっくりなりに理解しているのだろう、力なく舌を使って舐める程度だ。 死んでは元も子もないので、煮詰めた野苺を与えておく。餡子が漏れたわけでもないし、 すぐに回復するだろう。 「説明を再開するよ。ええと、この部屋には、『罠』が仕掛けてあります。50ユクリード、 かっこ1ユクリードは標準的なゆっくりが一跳ねする程度の距離かっこ閉じる、四方のこの 部屋に、タイルが敷き詰められているのです。床を見ると、白と黒がまだらになっているだ ろ? このあるマスを踏むと、ゆっくり出来なくなると言うことだ。例えばこのマスは落と し穴で、下に槍が隠れている。ほら、ぱかぱか開くだろ?」 足で踏むと、開いたタイルの底に、鈍く光る刃が隠されていた。 「君たちは『れいむ』と『まりさ』に分かれて、交互に罠を掛け合ってもらう。……のだが、 今説明しても理解が追いつかないだろうから、今日はこのへんでお終い。みんなゆっくりし ていってね!」 罠の設置された部屋で、声を出すことも出来ないゆっくりがどうやってゆっくり出来るの かは私は知らないが、まあなんとかなるだろう。食事は取らせるしね。 声も上げられず身を震わせて嘆いているゆっくりの家族を後に残して、部屋を出た。その 際、殺傷力のないただの落とし穴を踏み抜いてしまったことは乙女の秘密だ。 寝室に戻ると、ちぇんはいまだ寝ているようだった。もう昼だと言うのに。窓から差し込 む木漏れ日が、秋の深まりを優しく告げているように思える。 雪が降るまでには、家に帰らないといけないなあ。 「らんしゃまぁ~」 つぶやいた寝言は、まだ見ぬ伴侶に向けてのものだろうか。 彼女を起こさぬように胸に抱いて、私も午睡を嗜むことにした。 *次回予告* 家族を襲う数々のゆっくり。 だがそのゆっくり達とて、自分達を襲わねば死あるのみであったことを、ゆっくりの家族は 己の身を持って知ることとなる。 引き離された家族が出会うのは、殺戮の罠の中でしかないのか。 次回「愛、罠、ゆっくり」 1億円宝くじが当たるくらいの期待度で待て!
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/324.html
※注意 特になにもしてないゆっくり一家が虐められます! 「ピタゴラゆっくり 装置編」 梅雨も中ごろにになり、久々の晴れ間を見せた幻想の森の中をあるゆっくり一家がお散歩していた。 母親と思われるゆっくりれいむの後ろを10匹ほどの子ゆっくり達がぞろぞろとついて回っている。 久々の晴れ間とあって皆、意気揚々としている。 「ゆっ!ゆっ!ひさしぶりのおそとはきもちぃなー!」 「そうだね!ゆっくりたのしもうねっ!」 「ゆっ!ゆっ!ゆっ~♪」 「おかぁさん、ゆっくりおなかすいたよー、やすもうよー。」 「ゅゅ、ゅっくりちかれたー。」 子ゆっくり達は思い思いにしゃべっている。 「そうだね。そろそろゆっくりしようね。」 一番小さな子ゆっくりが疲れてきているのを確認すると、ちょうど川辺に差し掛かったこともあり、 おかあさんゆっくりはそこで休憩をとることにした。そこか花も咲きほこり、それにつられて虫たちも 集まっており、ゆっくりには最高のゆっくりスポットだった。 「おみずつめたーい!」 「すっきりー!」 川辺で水浴びをするゆっくり。 「はふはふ、うまっ、めっちゃうまコレ!」 「む~しゃ、む~しゃ、しあわせー!」 花や虫を食べるゆっくり。 はしゃぎまわる子ゆっくり達を見守りながら木陰で休むおかあさんゆっくり。 と、そこへガサッゴソッと近くの草むらからなにやら音が聞こえてくる。 「お、なんだゆっくりの家族か。」 草むらから一人の男が出てくる。 「ゆゆ?おじさんだれー?」 「おじさんはゆっくりできるひとー?」 「おじさんゆっくりしていってね!」 男に気づいた子ゆっくり達がテンプレな台詞をいいながら男に近寄っていく。 「ゆっくりちかづいちゃだめだよっ!」 突然、おかあさんゆっくりが叫び子供達を引き止める。 「おかあさんどうしたの?」 「どうちたのー?」 いきなり大声を上げた母親にびっくりしつつも、疑問の声を投げかける子ゆっくり。 このおかあさんゆっくりは人間がどんなものなのか僅かながら知っていた。食べ物やお家 をくれたと思ったら、いきなりひどいことをしてゆっくり達をゆっくりさせてくれないのだ、と 仲間のゆっくりから聞いていたのだ。特に「かこうじょ」の人というものには絶対に近づいたら いけないらしい。 「おじさんかこうじょのひとでしょ!れいむしってるよ、かこうじょのひとはあぶないって!」 木陰から移動し、男から子供達を隠すようにしながら言うおかあさんゆっくり。母親のいつもと 違う気迫に少々おびえながおかあさんゆっくりの陰から男を見上げる子ゆっくり。 「ははっ、僕は加工所の人間なんかじゃないよ、ただのきのこ取りさ。ほら、これが証拠だよ。」 そういって男は自分の背負っている籠の中身をゆっくり達に見せる。確かにその籠にはたくさんの きのこが入っていた。 男の見せたきのこに子供達は一瞬にして食べたそうに瞳を輝かせたが、それでもおかあさんゆっくり は男に疑いの目を向けつつ、子供達を制止する。その様子をみた男は頭をぽりぽりと掻きながら苦笑する。 「おいおい、そんなに怖い顔しないでくれよ。ほら、お近づきのしるし。」 そういいながら男は、自分のズボンのポケットから飴玉やクッキーを取り出し、ゆっくり達の前に置く。 このお菓子はゆっくり達に出会ったとき、籠の中身から気をそらすために男が常に持ち歩いているものだ。 当然、賞味期限などはとっくの昔に過ぎている。 目の前においしそうなものが来たことで、子ゆっくり達は我を忘れ、母親の陰から飛び出し喰らいつく。 「はふはふ、あまっ、うまっ、めっちゃスイーツ!」 「む~しゃ、む~しゃ、とってもしあわせ~。」 「あまーーーーーーーーい!」 「おいち、おいちぃ!」 無我夢中でお菓子に喰らいつく我が子に最初は戸惑いつつも、男がにこにこしながら特に何もしないこと、 子供達にも何もおこらないこと、そして、そういえば自分もお腹すいたなぁ・・・。と、思っていたことから 自分も男の置いたお菓子に恐る恐る口をつける。 「・・・!うまっ!めがっさうめぇ!」 飴玉を口に入れた瞬間、おかあさんゆっくりの頭の中は食欲で一杯になった。 甘いさすがゆっくり甘い。 「どうだい君達、おいしかったかい?」 ゆっくり達がひとしきり食べ終わるのを待ってから尋ねる男。 「おじさん、おいしかったよ!でも、ゆっくりもっとたべたいよ!」 「ゆっくりちょうだい!ゆっくりちょうだい!」 「MOTTO!MOTTO!」 「もっちょ、もっちょー。」 ゆっくり達の反応はまさしくテンプレ乙。といわざる終えないものだった。特に母親ゆっくりは、さっきまで 疑っていたのはどこにいったのか一番声高におかわりを要求してくる。 「それじゃ、おじさんのお家に来るかい?」 「おじさんのおうち?」 「そうだよ。」 「おじさんのおうちにはたべものがいっぱいあるの?」 「そうだよ。しかも食べ物だけじゃなくて君達にぴったりの遊び場もあるし、かなりゆっくりできるところだよ!」 その言葉をきいた瞬間、ゆっくり達は目を今まで以上に目を輝かせ「ゆっくり!ゆっくり!」と飛び跳ねている。 「それじゃ、改めて聞くけどおじさんのお家に来るかい?」 そう男が尋ねると、ゆっくり達は声をそろえて、 「「「「ゆっくりおじさんのおうちにいくよ!」」」」 こうして、1人と11匹の行列は人里へと向けて出発した。 途中、ゆっくりれみりあがゆっくり達を襲うと飛び掛ってきたが、男がそのキレイな顔をふっ飛ばしてやったので、 ゆっくり達はは更に男のことを信用した。 そして― 「ここが、おじさんのお家だよ!」 そういって男が扉を開け、中にゆっくり達を通してやる。 「わぁー、ひろーい!」 「ここならゆっくりできるね!」 「ゆっくりみて!たべものがあるよ!」 「わーい!わーい!ゆっくりしよー!」 部屋に通されたゆっくり達は思い思いの感想を述べながら、目ざとく見つけたお菓子の山に群がっていく。部屋の広 さは、6畳ほどだがゆっくり達には十分すぎる広さだ。そこには大量の(賞味期限切れの)お菓子があり、部屋の隅には 水のみ場が、そして、部屋の中央には滑り台やらトランポリンやらアスレチックやらが合体したものが置かれている。 これらはすべてゆっくりのサイズに合わせて作られている。 「ゆゆっ!すごいねおじさん!ほんとにゆっくりしていっていいの?」 いつの間にかお菓子を満腹になるまで食べ終え、ゆっくり用総合レジャー施設で遊んでいる子供達を優しく見つめながら 男に尋ねるおかあさんゆっくり。 「当然だよ!ここはおじさんがゆっくりのためにゆっくり出来るように作ったんだからね!」 と、親指をグッと立てたながら笑う男。 「おじさんありがとう!じゃあ、れいむもゆっくりするね!」 そういっておかあさんゆっくりは子供達のもとへぽよんぽよんと跳ねていく。それを後ろから見ながら男が、あっ、思いつい たような声を上げる。 「折角おじさんの家に来てもらったんだ、何か歓迎のお料理を作ってあげないとね!」 「ゆゆ?おじさんれいむになにかくれるの?」 「そうさ!おじさんとっておきのおいしいお料理さ!」 その言葉を聞いて喜ぶ母ゆっくり。さらに男は、 「そうだ、そこのちびちゃん達にも手伝ってもらおうかな。」 そういって男は子ゆっくり達の中で一番目と二番目に小さいゆっくりを指差す。 「ゆ?れいむがにゃにかおてちゅだいするのー?」 「すりゅのー?」 この2匹の大きさはまさしく一口サイズといっていい大きさだった。 「そうだよ、おじさんと一緒におかあさんのためにおいしい料理を作って、お母さんを喜ばせてあげよう。」 おかさんのために、おかあさんを喜ばす、といった言葉がまだ幼く、周りに世話をしてもらっている2匹の心に 響いたのか、俄然やる気に満ちた顔になる。他の子ゆっくり達も自分も手伝うと申し出るが、男がこの2匹が一番 いいのさ。といいながら、子ゆっくりを1匹、滑り台から転がしてやる。 「ゆぷぷぷぷぷぷぷぷぷ」 と声をあげながら滑り降りてくる子ゆっくり。その声に驚き、滑り終えて床に突っ伏す子ゆっくりを見守る他ゆっくり 達。と、突然突っ伏していたままのゆっくりが飛び起き、 「ゆー!!これ、とってもたのしいよ!みんなもゆっくりやろうね!」 興奮しきった顔で叫んだゆっくりの声によって我も我もと滑り台のてっぺんへと登り始める。 それを見た男は、じゃ逝こうか。と、ちびゆっくり達を抱え台所のある扉へ向かう。ちび達は滑り台を名残惜しそう 見つめながらも、母の役に立ちたいと目を輝かせながら男の手の中に納まった。 おかあさんゆっくりは幸せだった。こんな広くて食べ物がたくさんあるところでゆっくりできるのが、我が子たちが 楽しそうにしているのを、なによりまだ幼い末娘達が自分のためにおいしいものを作ってくれるのを。 しかし、おかあさんゆっくりは気づかない。この部屋の壁は分厚く、防音仕様になっていることを。おかあさんゆっくり は気づかない、この部屋につながる部屋の扉はすべて鍵付であること。おかあさんゆっくりは気づかない、この部屋には窓 が無いことを。 ―――十数分後 「お・ま・た・せ~☆」 男がそんな声あげるんじゃねー!と言われそうな声色で男が皿を抱えて入ってくる。その顔はなぜかとてもやりきった後の顔だ。 「ゆゆ!おじさんまってたよ!はやくゆっくりちょうだいね!」 などと、微妙に矛盾したこと言うおかあさんゆっくり。 「ふふふ、ごめんごめん。はい、これ!」 そういって男は持っていた皿をゆっくりの前に置く。 「わーすごーい!」 「おいしそう!」 「いいにおい~!」 男の置いた皿の中身をみて、遊びつかれて母親にくっついて休んでいた子ゆっくり達が感想を口にする。 男の持ってきたものは2つの上げゴマ団子だった。丸々としたそれはたっぷりとゴマがまぶされ狐色になるまで油で揚げられている。 団子からはゴマの香りが立ち込める。想像するだけで腹が減ってくる。 それを目の前で見せられたおかあさんゆっくりは待ってました!と言わんばかりにかぶりつこうとする。しかし、直前でふと違和感に 気づき、男に尋ねる。 「ところでおじさん、れいむの赤ちゃん達はどうしたの?」 そう、男を手伝ってもらうといって連れて行かれたちび達がいないのだ。 「ちょっとお団子を作るのに疲れた休んでるだけだよ。今はおねんねしているよ。」 男がそういうと、ならば大丈夫と思ったのかおかあさんゆっくりは揚げゴマ団子にがぶりつく。 「はふ、あつっ、はふ、うめっ、めっちゃうめこれ!!!」 かなり気に入ったのか思わず2個いっぺんに食べるお母さんゆっくり。それを見た男は密かに笑みを浮かべる。 おかあさんゆっくりが団子を両方とも半分ほど食べたころに男がぱんぱんと手をたたく。それにつられておかあさんゆっくりは食事を 止め、母親の食事を羨ましそうに見つめていた子ゆっくり達も男に注目する。 「おかあさんばっかり楽しんでちゃ、君達がかわいそうだから今からおじさんが手品をしてあげるよ!」 「ゆゆ?てじな?」 1匹の子ゆっくりが聞き返す。 「そうだよ、さぁ見ててごらん。」 「ゆゆ??」 そういって、男は1匹の子ゆっくりを手のひらにのせるとどこから取り出したハンカチをかぶせる。 「おじさーんなにもみえないよー!」 「おじさんはやくそれをどけてあげてね!」 ゆっくり達の抗議の声を無視して呪文を唱える男。 「3・・・2・・・1・・・、オマエハモウシンデイルー!」 そういって男が勢い良くハンカチを上へつまみ上げる。 「「「!?!?!?!?」」」 ゆっくり達の顔が驚愕の色に染まる。なんと、さっきまで男の手のひらにいた子ゆっくりは一枚のクッキーになってしまったのである!! 「はいどうぞ、お食べ。」 そういって男は驚き固まっている子ゆっくりにクッキーを差し出す。 「クッキーうめぇ。」 思わずクッキーを食べる子ゆっくり。途端、 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛れいむがれいむをだべだぁぁぁぁぁぁ!!」 1匹の子ゆっくりがそう叫んだことてゆっくりれいむ一家は狂乱状態となった。 「どうじでごんなごどずるのおおおおおおおおおおおおおおお!!」 「おぢさんゆっぐりじねぇぇぇぇ!」 「あがぢゃんがあ!れいむのあがぢゃんがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」 一家はそろって男に体当たりをしてくる。男は慌てて、 「ほらほら、すこし落ち着いて!れいむはちゃんとここにいるよ!」 そういって、男は再びハンカチを手のひらにのせると今度ゆっくりとハンカチを除ける。するとそこには1匹の子ゆっくりがいた。何が起 こったのか理解できずきょとんとした目で周りを見渡す。 「よがっだぁ!わだじのあがぢゃんいぎでるー!」 「ゆっぐりじでいこうね!ゆっくりじでいこう!」 子ゆっくりの無事を確認した一家は今度は嬉しさのあまり泣きじゃくる。 「みんなゆっくりしようね!ゆっくりしようね!」 当の子ゆっくりは状況をいまいち飲み込めないのか男の手のひらで楽しそうに飛び跳ねる。 「おじさんひどいよ!いきなりこんなことするなんて!」 狂乱状態から立ち直ったおかあさんゆっくりは男に抗議する。 「はは、ごめんごめん。でも、手品っていうのはこうやって皆を楽しませるものなんだ!」 「もう!今度からはゆっくり気をつけてね!」 おかあさんゆっくりは頬をぷくーと膨らませるが、手品自体が安全なものとわかったので安心したようだ。 そのことが子ゆっくり達に伝わったのか、今度は自分にやってという声が上がり始めた。男はそれを快く受け、皆に代わりばんこで手品をして あげた、不思議で面白いものが見れ、更にはお菓子まで貰える、まさに一石二鳥だった。 全員が手品を体験し終えると、男はゆっくり用総合レジャー施設の前に立つと、滑り台の終端部分に何か引っ掛けるような動作をした後、その 部分が隠れるようにハンカチのカーテンを掛けると、 「さぁ、ここからが本番だよ!今度はこの滑り台から降りてきた子がハンカチにはいると、なんと!餡子入りのお饅頭に変わりま~す!」 その言葉に喜びの声をあげるゆっくり達。続けて男は、 「さらに、今回は3人一緒にこの手品を受けてもらいます!もちろんお饅頭も3つ分!」 その言葉で更に色めき立つゆっくり達。れいむがやる!れいむがやる!と男に擦り寄る。そして男は適当に3匹の子ゆっくりを拾い上げる。 拾い上げられた子ゆっくりは満足げだ。他のゆっくり達はブーブー文句をいっているが、男のみんなちゃんとやってあげるよ。という言葉に それなら大丈夫だね!と言い合った。 「それじゃ、いくよー!」 そういって3匹の子ゆっくり達を立て続けに転がす。子ゆっくり達の顔の向きは皆、外側を向き、横にころんころんといった感じで転がっていく。 この滑り台、滑り台というにはレールに近い。そう、工場などで製品の向きをしっかり固定できるようなレールに。 「ゆっ♪ゆっ♪ゆっ♪ゆっ♪ゆっ♪」 子ゆっくりはご満悦だった。姉妹の誰よりも最初に選ばれたから。それに、この滑り台はとても面白いからだ。目はぐるぐる回ってしまうが、この スピード感は普通にゆっくりしていたら体験できないものだ。そろそろこの滑り台ももうすぐ終わってしまう。そうなるの少し寂しい。でも、おじ さんに頼んだらもう一度させてくれるかもしれない。そうだ、そうに違いない。と、思いながら視界がハンカチに遮られた瞬間、子ゆっくりの体の 中を何かが走り抜けていった。子ゆっくりはそれが何なのかを確認するまもなく意識が暗闇に溶けた。 3匹の子ゆっくりがハンカチのカーテンに吸い込まれたこと確認した男は、ニヤッと笑みを浮かべた後、 「さぁさぁ、みなさんお持ちかねお饅頭だよ!3、2、1!オマエハモウシンデイルー!」 そういって男はハンカチを外すことなく、手でひょいと、子ゆっくり達の前に饅頭を置いてやる。そこには、3つの饅頭がきれいに2等分ずつされていた。 「ゆっくりあま~い!おいしー!」 「うまうまうまうまうー☆」 「おいしいね!」 「おいしいね!」 5匹の子ゆっくり達は目の前に置かれた饅頭にかぶりつく。そして、1個あまった饅頭はおかあさんにあげることにした。 「ゆっゆっ!みんなありがとね!」 子供達の厚意に心から感謝するおかあさんゆっくり。食べ終えた子ゆっくり達は次は自分の番だ!と騒ぎ立てる。 その声を遮るように男は、 「ふふ、まぁ少しまって。実はまだお饅頭は3つ残っているんだよ!」 男の予想外の言葉に子ゆっくり達は喜ぶ。 「ほんと!?はやくちょうだい!」 「ちょうだい!ちょうだい!」 その声に応えるように男はうなづくと、 「はい、ゆっくりお食べ。」 そういって、ハンカチの裏から無造作に投げる。 べちゃっ。という音とともに床に落ちる饅頭らしき物体。慌ててそれに駆け寄る子ゆっくり達。 瞬間、空気が凍る。 床に投げ出されたのはさっきまで自分達と遊んでいた姉妹の顔。しかし、そこにあるのはどこか虚空を見つめて笑う薄っぺらい顔だけだった。 「どうしたんだい?その 残 り の お 饅 頭 を食べないのか?」 やたらお饅頭という言葉を強調する男。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛れいむのあがぢゃんんんんんんんんn!!」 最初に叫んだのはおかあさんゆっくりだった。その声をきいた瞬間再び狂乱が訪れた。 「どうじでぇ!どうじでごんなごどずるのおぉぉぉぉぉおおえろ!!」 「いや゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ゆっぐりじだいいい言いいいゆっぐりざぜでえええええええ!!」 「れいむがれいむをだべぢゃっだの゛ぉぉぉぉっぉぉぉお!!!?????」 「ああそうだよ。君達が食べた。」 ゆっくりの質問に親切に応えてあげる男。 「なんでぇええええええなんでえええええええええええ!!!!」 「おうぢがえりだいよおっぉぉぉっぉぉぉおおおおおおお!!」 「今だじであげるからね!今だじであげるからね!ぉえろろっろろろrrゆぶぶぶぶぶ!?!」 「おいおい、吐くなんて勿体ないことするなよ。」 いつのまにかゴム手袋を装備した男は、自分の食べた姉妹を助けようと自ら餡子を吐き出した子ゆっくりの吐しゃ物を手ですくい、そのままその 子ゆっくりの中へ押し込んでやる。しかし、その嘔吐の瞬間を見たことによる貰いゲロ祭りが始まった。 「げぇぇぇぇぇーゆぶぶぶぶぶ!!??」 こっちが吐けば押し戻し。 「オロロロロロロロrゆべべべべべ??!!!」 あっちが吐けば押し戻し。 もはや貰いゲロから男の押し戻す反動で吐き出すため子ゆっくり達の嘔吐は止まらない。男はしっていてなお、あぁ急がし急がし。と、まるで宴会がある 日の巫女のようにつぶやきながら、実に楽しそうな顔で子ゆっくり達の間をいったりきたりする。 母ゆっくりは耐えていた。自分も早く吐き出してしまいたいと思いながらも、目の前の惨状がどうにか精神を保持させていた。 「・・・ど、どうじでごんなごとずるの!?ゆっぐりできないよ!!ゆっぐりおうぢがえる!!」 吐き出しそうな感覚をこらえながら男に怒りをぶつける母ゆっくり。 「どうしてだい?折角ここにはおいしいものがいっぱいあるし、ゆっくりできるじゃないか?」 男は手を止め、何を今更。という風な顔で聞く。 「ゆっくりできないよ!!!おいしいものもいらないよ!!!だがらおうちかえるよ!!!」 「何を言ってるんだい?さっきあんなにおいしい、おいしい、て言って食べてたじゃないか?特にその揚げゴマ団子を。」 男は母ゆっくりの傍らにあったゴマ団子の皿を指差した。それを見て、母ゆっくりは、確かにこれはおいしかったが、だけど・・・とおもって口を開こうとした瞬間、 「そりゃうまいよなぁ~、自分が命の危険を冒してまで交尾した結果できた赤ちゃんだもんなぁ~。 そりゃうまいよなぁ~、自分が一生懸命になって世話して育てた赤ちゃんだもんなぁ~。」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ゆ?」 男の言葉に思考が止まる。こいつはなにをいっているんだ?なにをこいつはいっているんだ? りかいできないりかいできないりかいできないりかいできないりかいできないりかいできないりかいできない りかいできないりかいできないりかいできないりかいできないりかいできないりかいできないりかいできない りかいできないりかいできないりかいできないりかいできないりかいできないりかいできないりかいできない 母ゆっくりが困惑した顔を浮かべるのを見て、やれやれといったように男がゴマ団子を取り、ちょうど食べ残された部分を指の腹で削っていく。 「ほら、これのことだよ!」 満面の笑みでその削れた部分を見せる男。 そこにあったのは2つの顔。母ゆっくりが良く知っている顔。まだまだ幼く世話のかかる子の顔。母のために始めて自分から行動を起こしてくれたこの顔。 しかし、その2つの顔はまるでこの世の地獄のの様な顔をしていた。両目は力いっぱい開かれ白目を向き、何かを堪えるように激しく食いじばられた口、 誰かに助けを求めるように大きく開かれた口。その形相はまるで阿吽力士像のようだった。 「ゆ゛!?!?!?!?!?・・・ゆげろろっろおろろろrゆぶぶうぶぶぶぶ!!!」 「おいおい、だから吐き出すなんてもったいないだろ?」 ついに母ゆっくりの精神は限界を超えた。まるで黒い滝といってもよい量の餡子を吐き出す。 しかし、即座に男によって餡子は元の位置に戻される。本来は姉妹を助けるために餡子を吐き出していたはずの子ゆっくり達は、命の危機を感じたことにより 床にぶちまけられた餡子を再び口に含んでいた。しかし、母の嘔吐と男の作ったゴマ団子の正体を知った瞬間、再び嘔吐し始めた。 「ああもう!そんなに一斉に吐くなよ!!」 ほぼ同時に子ゆっくり達が吐いたので、男はこれ以上吐かれて死なれたこまると、せっせと子ゆっくり達に餡子を戻した後、どこからか取り出した粘着テープで 子ゆっくり達の口をぴったりとくっつけた。ヴーヴーと苦しそうにうなる子ゆっくり達。 「どうじで、どうじでごんなごどずるのぉ!?れいむだぢわるいごとじてないのにぃぃぃぃ!」 脅威の精神力で母ゆっくりは持ち直し、男に抗議の体当たりをする。 「どうしてだって?それは僕が君達を愛しているからだよ!」 体当たりをひょいと避け、男は母ゆっくりを掴むと自分と目が合うように持ち上げる。 「ゆ゛?あい???」 涙とその他もろもろでぐちゃぐちゃになった顔で男に聞き返す母ゆっくり。 「そうさ!愛だよ!!君達が君達の赤ちゃんを愛すように、僕は君達を愛している!!!そう!こんなふうに!!!」ブチィっ! 「ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!」 男の大げさな愛の告白とともにゆっくりの頬が力いっぱい引きちぎられ、母ゆっくりは大声をあげた。 「じないー!れいむばあがぢゃんにごんなごとしなiうぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」 母ゆっくりの言葉を遮ったのは、ちぎれた頬から挿入された男の腕だった。 「ああ・・・。その声だ!wwwwその声を聞くたびに僕は満たされる!!wwwwほら、もっとだ、もっと聞かせてくれよ!!wwww」 そういって男がゆっくりに挿入した腕に力を入れようとした瞬間。 pipipipipipi・・・・・・ 幻想郷には似つかわしくないデジタル音。それは男のズボンのポケットからするものだった。 「何だ・・・、もうこんな時間か。仕方ない。」 その音の発信源を停止させた男はつぶやく。 「ごめんなー?ゆっくり。おじさんこれから別の用事をしなきゃいけないんだ。」 そういって男は腕をゆっくりから引き抜くとゆっくりをゆっくりと下ろした。 「ハァhァ・・・おじさん・・・ハァ・・・どっがいぐの・・・?」 息もたえたえな母ゆっくり。 「そうなんだよ。おじさんこれから出かけなきゃいけないんだ。」 この男がここからいなくなる。それを聞いたゆっくりの心に希望の火がともる。 「ゆっ・・・ゆっくりでかけてきてね・・・。ゆっくりかえってこなくていいよ・・・・・・!」 「はは、それじゃ行ってくるよ。また、明日ゆっくりしようね。今夜もうおやすみしようね。」 噛み合わない会話を残しつつ、男は部屋の出口へ向かい、明かりを消した後部屋を後にした。 窓がないこの部屋の電気が消えたことで、部屋は新月の森よりも暗い真の闇の世界となった。急に真っ暗になったことで子供達はパニックを起こし、 うーうーとうなっている声が聞こえたが、おかあさんゆっくりには今はそんなことどうでも良かった。幸い、男によってつけられた傷口は致死量の餡子 が出ることもなく、このまま眠ればいくらか回復するだろう。それよりも今は疲れた・・・。あの子達もそのうちなき疲れて眠るだろう。ここは誰も入って これないゆっくりの楽園。あかちゃんが一杯死んじゃったけど、まだ5人もいるじゃないか、まだまだ大丈夫。そう考えながら母ゆっくりは眠りについた。 あとがき的ななにか あれ、おかしいな?最初は滑り台の部分を小ねた的にやって終わるはずだったのになんでこんなに長いんだ? しかも全然ピタゴラできてないよ?バカなの?しかも続くの? どうする?俺!! 名も無き作者 ゆっくりいじめ系288 ピタゴラゆっくり2
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3326.html
※俺設定全開です ※虐待の直接表現はあまりないです タイトル「ゆっくり訪問」 アパートに下宿している大学生である青年は、夜食の準備をしていた。 準備といっても、カップラーメンに入れるお湯を沸かすために、電気ポットに水を入れていただけだが。 磁石式コンセントをポットに接続したところで、ドアをノックする音が聞こえた。 「はいはーい」 気のない返事をしながら、宅配便でも来たのかと、不用意にドアを開ける。 誰もいない。 舌打ちしてドアを閉めようとしたところ、足下から声が聞こえてきた。 「むきゅ、ゆっくりしていってね!」 「ゆっくちちていっちぇね!」 声の方に目をやると、そこにはゆっくりの成体ぱちゅりーと赤ありすがいた。 「なんだよゆっくりか…」 一時期、ペットとして飼育するのが流行った不思議生物ゆっくり。 当初は人語を解するので、犬猫なんかより躾けやすいだろうと考えられていた。 しかし、少しでも甘やかすとまるで自分が主人だと言わんばかりにつけあがる。 おまけに人語で罵詈雑言を浴びせてくるので、飼い主のストレスがマッハとなり、捨てられるゆっくりが後を絶たず、社会問題化した。 喋れないからこそ犬猫は可愛いのだと再認識させられ、ゆっくりブームはあっさり収束した。 青年の眼前にいるゆっくりも、おそらく捨てられたペットなのだろう。 そんな考えを巡らせていると、ぱちゅりーが話しかけてきた。 「むきゅ、おにいさんは ゆっくりできてる?」 いきなり質問されたため、青年は反射的に応えてしまった 「できてねーよ、今からレポートだよ」 ぱちゅりーは「予想通りッ!」といった表情を浮かべて言った 「そうよね、ゆっくりできていないわよね!」 「できちぇないね!」 わざわざ赤ありすが復唱する。 青年は、これからレポートという現実から無意識のうちに逃避したい願望に捕らわれ、このゆっくり遊技につき合ってしまっていた。 「そんなおにいさんに ろうほうよ!」 「りょうぽうにょ!」 「この ゆっくりする ほうほうが かかれた ごほんをよめば、ゆっくりできるわ!」 「ゆっくちできりゅよ!」 「いまなら ごはんと こうかんしてあげるわ!」 「あみゃあみゃ ちょーらいね!」 今度は青年が「予想通り」といった表情を浮かべる番だった 「なんだよ、やっぱり集りか」 片手でシッシと追い払う動作をしながら言った 「ゆっくりに餌やるのは条例違反なんだよ。なつかれても迷惑だしな。帰れ帰れ」 「むきゅ!なにいってるのよ!これは きちょうな ごほんなのよ!」 ぱちゅりーはもみあげに器用に挟んだ小さなチラシのようなものを盛んに振り回す 「とくべつに ごはんと こうかんしてあげるって いってるのよ!」 「あみゃあみゃ、ちょーらいね!」 「いらねー、つってんだろーが、ボケが」 青年は騒ぎ立てるぱちゅりーと赤ありすを蹴飛ばした。 クリームやカスタードをまき散らされては叶わないので、思いっきり手加減して。 コロコロと転がって、フェンスに激突する2匹のゆっくり。 「もう来るんじゃねーぞ」 青年はダメージに震えながら立ち上がる(?)2匹を一瞥すると、ドアノブに手を掛ける。 体が弱いとされるぱちゅりーとは思えない回復力で立ち直ると、青年に向かって叫んだ 「まっでぐだざいぃぃ〜!ぱちゅは ごのごを ぞだでなぐちゃ いげないんでずぅ〜!」 「みゃみゃ〜!」 今度は泣き落としかよ。 呆れる青年だが、先ほど同様レポートからの逃避行動を取ってしまう。 腕組みして足でドアの開放状態をキープしつつ、ぱちゅりーの話を聞いてみることにした。 「ぱちゅと ありすは すっきりして あかちゃん うんだけど、ありすは しんじゃったの!」 ぱちゅりーは目から洪水のように涙を流しながら青年に訴える 「ぱちゅは かりが へただから、あかちゃんに ごはんを ちゃんとたべさせられないの! だから、ゆっくりできる ごほんと ごはんを にんげんさんに こうかんしてもらってるの! だって、ぱちゅには そうめいな ずのうしか ないから!」 「みゃみゃ〜!」 赤ありすがぱちゅりーに泣きながら頬ずりしている。 シングルマザーか… 青年はちょっと情に絆され、ささっと周囲を見渡した。 誰もいない。 丁度、さっき友人とファミレスに行った際にガメてきたスティックシュガーがあった。 この程度の袋なら、ゆっくりでも噛みきれるであろう。 青年はそれを泣き喚くぱちゅりーの帽子に差し込みながら言った 「ほら、コレやるから、さっさと巣に帰れ」 「むきゅ!むきゅ〜ん、おにいさん ありがとう!」 「ありがちょー!」 「この ゆっくりできる ごほんと こうかんね!」 もみあげに挟んであったチラシのようなものを、器用に口にくわえ直し青年に差し出した。 青年は流れで思わずそのチラシのようなものを受け取る。 さて、そこに書かれているという、ゆっくりできる方法とは… 『美白乳天使ホワイトエンジェル 95分10000円 チェンジ可…』 「…これは『ゆっくりできる方法』じゃなくて『すっきりできる方法』じゃあ、ボケェッッ!!!」 青年は今度はインサイドキックでゆっくり親子を、潰さないよう配慮しつつ、アパートの出口方向に蹴飛ばした。 「「ゆべぇっ!!!」」 道路に着地し、そのままコロコロ側道まで転がってゆく。 「ゆぅっ!ぱちゅ!おちびちゃん!」 アパートの出口あたりから、転がるぱちゅりーと赤ありすを追いかけるようにありすが飛び出した。 「むきゅ〜うぅぅん…」 「ゅぎゅうぅぅ…」 目を回しているぱちゅりーと赤ありすを舐めるありす 「ぺーろぺーろ、いたいのいたいの、とんでけー!」 どうやら先程ぱちゅりーが話していた、死んだはずのありすのようだ。 興醒めした青年は、ドアを閉め鍵をかけたのであった。 青年は友人に先程の出来事を報告するため、電話をかけた。 同じくレポート作成作業中のはずだから、怒鳴られるかと思ったが、電話せずにはいられなかった。 はたして、電話に出た友人からは、意外な声が発せられた。 「おう、今 俺ンとこにゆっくりがきたぞ!」 青年の友人もアパート暮らしだ。 友人がレポートに取りかかろうとノートPCに電源を入れたタイミングで、玄関をノックする音が聞こえた。 「はいはーい」 宅急便かな、何か頼んだかな?と不用意にドアを開けてしまった。 「こんにちわ、おにいさん!れいむだよ!」 でかい声が足下から響いてきた 「おにいさん、れいむに ごはんを ちょーだいね!」 バスケットボールサイズのゆっくりれいむは畳み込む 「れいむが『しあわせー♪』すると、おひかりさんが でるんだよ!」 ぽよんぽよんと跳ねながら、ヒートアップしてゆく 「おひかりさんを にんげんさんが あびると ゆっくりできるんだよ!」 れいむはそこで一区切りして俯いた。 そして、はち切れんばかりの笑顔を友人に向けながら言った 「だから おにいさん!れいむに ごはんを ちょーだいね!!!」 「うるせぇ、ボケが」 冷淡に言い放つと、れいむの顔面につま先をめり込ませた 「わけわかんねー事、叫んでンじゃねーよ」 フェンスまで吹き飛んだれいむは「ゆぎゅっ!!!」と呻き、蹲って震えている。 閉まるドアに、ゆっくりとは思えないスピードで入り込むと、友人に叫んだ 「まってね おにいさん!れいむの おひかりさんを あびたくないの!?」 友人は足で見事なストッピングを決め、そのままれいむを踏みつけながら言った 「…なんじゃい、その『おひかりさん』つーのは?」 とりあえず、青年と同じくレポートからの逃避行動として、れいむの話につき合うことにした。 「ゆゆっ!ばかな おにいさんに もういちど せつめいしてあげるね!」 友人の足にれいむが跳ねようとしている力が伝わってくる。 ウネウネして気持ち悪い。 「れいむが おいしいごはんをたべて 『しあわせー♪』すると、れいむから おひかりさんが でるんだよ!」 足から伝達するウネウネのテンポが上がってきた 「たいようさんのような おひかりさんは とてもゆっくりできるよ! おにいさんの あんこさんも きれいになるんだよ!」 友人はれいむの話を整理してみた。 1.れいむが餌を食べると体が光る 2.れいむから放たれた光を浴びると、人間はゆっくりできる 3.れいむから放たれた光を浴びると、餡子(血液?)が綺麗になる 「…訳が分からん」 そもそも、ゆっくりが餌を食べて「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー♪」した時に光ったのを見たことがない。 もしかして、新種のゆっくりか!? 餌をやることは条例違反だが、周囲に誰もいないし、学生として学術的好奇心を満たさずにはいられない。 友人は先程青年と一緒に行ったファミレスからガメてきたスティックシュガーを与えることにした。 「オラ饅頭、あまあまやるぞ」 「ゆっ!あまあま!ゆっくりしないで はやくちょうだいね!」 足をどけてやると、上を向いて大きく口を開ける。 玄関のすぐ横がキッチン、手の届くところに調味料入れがあり、そこにスティックシュガーを入れていたので、すぐに取り出せた。 大きな口を開けて待機しているれいむの口の中に砂糖を流し込む。 れいむは涙を流しながら 「あまあま、あまあま、しあわせー♪」 とびきりの笑顔になったが、「おひかりさん」とやらは友人には確認できなかった。 「おい、れいむ。『おひかりさん』はどうした?」 「ゆゆっ?いま おひかりさんが でたでしょ?わからないの?ばかなの?しぬの?」 れいむが嘘をついているのでなければ、「おひかりさん」は出たのだろう。 ただしそれは、人間には見えない。 そして、健康になったりゆっくりしたりしていない現実があった。 「意味ねー」 友人はアパートの出口に向かって、れいむを蹴り出した。 あとにはれいむの絶叫と、友人が閉めたドアの音だけが残った。 「とゆー訳だ」 「条例違反じゃねーか」 友人の話に、青年はつっこんだ。 しかし、友人は反論する 「ちげーよ、盛り砂糖しようとしたらゆっくりが勝手に食べたんだよ。俺は被害者だよ」 「しかし、お前んとこのアパートと結構離れてんのに、似たような事件がおこるとはな…」 「多分、どこででも発生してると思うぜ」 二人で今回あった事件について考察してみた。 ゆっくりは、採餌やペット化など、成功体験が個体群間においてものすごい速度で伝播する。 メカニズムは不明だが、会話によるもの、繁殖時の餡子記憶伝達によるものが考えられる。 今回のドアをノックする方法も、石を銜えて頭突き(?)するという行動は従来見られなかったものだが、青年と友人のケースで共通していることから、伝播したものだと推測できる。 「つまり、どこかのゆっくりがピンクチラシを渡したら餌を貰えたのを、誰かが見たか他ゆっくりに話したか」 「ピンクチラシをポストに投函すると逮捕されちゃうから、もしかしたら、業者がゆっくりにやらせてんのかもな」 友人は人間の関与を疑っている 「ゆっくりに『このチラシを人間にあげれば、ご飯貰えるよ』とか言って」 「ゆっくりが『人間さんに言われたんですぅ』ってゲロして、チラシから業者たどればバレバレじゃん」 「そんなもん、チラシは盗まれましたって言やすむだろ。それに奴らが人間に餌をたかるのは日常茶飯事」 「おひかりさん、はなんなんだろうな」 「プリクラの撮影風景でも見たんじゃない?大体みんな笑顔になるから、それ見て『人間は光を浴びるとゆっくりする』と思いこんだか…」 「血液はなんだよ」 「アレだろ」 「アレか…」 次の日、大学に行ってみると、他の学生のアパートや自宅でも似たような出来事があったらしい。 実際にゆっくりが訪問してきた日付は各々でかなり違うのだが、人間の記憶などいい加減なもので、話題になったときが事件のあったときと錯覚する。 なので、市民はゆっくりが一斉に家庭訪問したかのような印象を受けた。 ゆっくりが餌をたかること自体は珍しくない。 問題なのは、その方法であった。 石を銜えて頭突きでノックするものだから、ドアに傷が付く。 アパートなどでは、全てのドアに大体高さ30センチくらいの所に傷やへこみができていた所もあった。 また、都市に住むゆっくりは車と住居の区別ができず、「人間さんが出てくるから、ここ(車)もおうちだね」 という勘違いをして、車のドアに傷・へこみをつけた。 アパートやマンションの管理組合や管理会社、車のオーナーなど市民、そして自治体を巻き込んで大論争がおこった。 管理組合や市民は自治体がゆっくり害の危険性を見過ごしていたと損害賠償を請求し、自治体は自然災害と突っぱねる。 それまで大して話題にならなかった、野良ゆっくりの「おうち宣言」や「物乞い」、繁殖しすぎて道路に飛び出しスリップ事故の原因になる事例までがクローズアップされ始めた。 怒りの矛先は、ゆっくりショップや愛好家にまで向かう。 ショップや愛好家が飼えなくなったゆっくりを捨てているのではないかという風評まで流れた。 犬や猫と違って、明らかに損害をもたらすゆっくりを排斥するという運びとなるのに、時間はかからなかった。 都市からゆっくりの姿が消えた。 あとがき 読んでいただいた方、ありがとうございます。 家のポストにチラシが放り込まれているのを見て思いつきました。 あれって、ゴミになるからいやなんですよね。 これまで書いた作品 ゆっくり爆弾 ゆっくりの光
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1569.html
たまには普通に虐めてみる。 「ゆ~ゆゆ~♪」 森を歩いているとゆっくりれいむを見かけた。どうやらえさを集めているようだ 花やらバッタやらを口の中に収めている。 「ゆう!こんなところだね!ゆっくりかえろうね!!」 そんなことをいいながらぴょんぴょん跳ねて移動するれいむ。 独り言の多いやつだなぁ。 そんなことを考えながら俺はれいむの後をこっそりつけていった ああ、ちなみに俺は虐待お兄さん。鬼ってほどじゃないけど虐待は大好きさ。 たまにゆっくりを蹴っていじめるとすっきりするよね。 「ゆ!!ただいまだよ!!」 そんなことをいいながら巣の中に入っていくれいむ。きちんと入り口を木片や草で隠すのも忘れない。 巣は少し膨らんだ地形の地面を掘って作られていた。おそらく自分で掘ったのだろう。 雑草で少々分かりにくいように出来ており、なかなかよい巣であった。 ゆっくりは木の根元に作ることが多いのだが、このゆっくり一家はそういうわけではないようだ。 俺は位置を確認するといったん家へと帰っていった。 しばらくしてスコップを持って、また巣のところに戻ってくる。 こっそり入り口を少し開けて声を聞く。 「ゆっ、ゆゆっ」 「ゆぎぃ!」 「はんてい、れいむのかち!!」 「ゆ~、おねえちゃんつよい~」 どたばたとする音と騒ぐ声。どうやら相撲をやってるようだ。 全員いるようだが…ゆっくりという名前なのにゆっくりしてねえな、こいつら。 俺は近くの土を掘り、それをまず入り口にかけて固める。 完全に固まったのを確認すると巣の屋根に当たると思われる部分を軽く掘ってスコップで叩いた。 「ゆ、なんだかおかしいよ!!」 「なんだかやねがくずれてくるよ!!」 「やねさんゆっくりしてね!!」 「みんな!!きけんだからだっしゅつするよ!!おかあさんについてきてね!!」 下から声がする。俺が土を叩いているので崩れだしたようだ。しかしこいつら声でけえな。 声を確認しながら大体の巣の形を把握。騒ぎながら移動するので結構楽である。 どんどん 「ゆゆ!!いりぐちがあかないよ!!」 「どうじでー!!」 「このままじゃゆっくりできないよ!!」 入り口辺りで騒ぎ出すゆっくり達。そしてその上を掘ってさらに恐怖をあおる俺。 そろそろかな 俺は入り口辺りの屋根の部分と思しき所を思いっきり踏みつけた。 「ぶぎぃ」 「ゆ」 一気に崩れる土。声的に親れいむ辺りがつぶれた音か。他にも一匹つぶれたようだ。 「おがーざんがあああぁぁぁぁっ!!!!!!!!!!」 「おねーぢゃーーーーん!!!!!!!!!!!!」 その光景を見たのか叫ぶ子ゆっくり。よしよしいい感じだ。 「ここじゃあぶないよ!!さっきのへやにもどるーー!!」 「れいむももどるー!!」 「ゆっくりしたいよーー!!」 一気に崩れた光景をみたためか移動していく声。どうやら入り口から奥の部屋に戻ったようだ 普通なら掘り進んでも入り口にいるのが正しいのに…さすが餡子脳。 声が移動するのにあわせて地面を叩いて崩落させる俺。それほど厚くないので思ったより簡単だった。 「やめでーーーーー!!!!」 「やねさんゆっぐりじでね!!!!」 「ゆっぐりでぎないよ!!」 あるていど入り口を埋めた辺りでストップ。さすがに疲れた。 「ゆううう、やっとおさまったよ」 「やっとゆっくりできるよ」 「ゆっくりしようね」 どうやらゆっくりし始めた子ゆっくり達 さっき親が死んだのにもう忘れたのか しばらく休憩してからまた軽く屋根の部分を掘る。今度はゆっくりしてるからか子ゆっくりはきづいてないようだった。 だいぶ掘り進んだしこんなとこかな。 「せー…の!!」 ぼすんっ!! 『ゆびぃ!!』 思いっきり踏みつけると部屋の部分の屋根に当たるところが一気に大崩落を起こす その影響で全ての子ゆっくりが巻き込まれた。 「こりゃすげぇな」 崩壊した巣から這い出しながらそんな感想をもらす。 苦労して掘った巣がこうやって一気に壊されるとはゆっくりも思わなかっただろう。 「あー、でも結構重労働だったわりにはあんまり苦しめられなかったか…」 疲労感から近くの地面にねっころがる。 さすがに二度とやる気は起きそうになかった。 ~~~~~~ 思いついて一気に書き上げた作品です。 人間に従うゆっくりの群れネタを書いてたら、スレで協定話が盛り上がってたらしく それ関係のネタがたくさん出てきて結構かぶってしまうという状態に もう少し早く書き上げればよかった ゆっくりした結果がこれだよ!! 過去作品 巨大(ry 餌やり ゆっくり対策 巨大まりさ襲来 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/899.html
※舞台は何故かゆっくりが当然のように存在している外界です。 数年前に突如現れ、急速に社会に浸透していった(ような気のする)ゆっくりと呼ばれる謎の生物。 人間の生首が膨張したような容姿のそいつらは饅頭のクセに生きていたり、どこから来たのは全く不明だったりとあまりに謎が多すぎるゆっくり達。 が、目新しいものや珍しいものを好む人々はその「ゆっくりしていってね!」とか「ゆーっ!」などと珍妙な鳴き声をあげる未知の存在をあっさりと受け入れた。 そして俺はそんな不思議に満ちた生命体の研究や飼育用の商品の開発に携わっている“ゆっくりカンパニー”のしがない一社員だ。 現在、俺はゆっくりの条件反射に関する実験を行っている。 実験内容は恐ろしく古典的なものでパブロフの犬そのまんま。 餌を与える前に音を聞かせて、実験体に内蔵された遠隔操作できるライターを点火するときにも音を聞かせる。 この実験で使用するゆっくりは生まれたてのゆっくりれいむの赤ちゃんが4匹。 赤ゆっくりれいむAには餌を与えるときにも、点火する時にも何の前触れもなしにいきなりそれらの処置を施す。 赤ゆっくりれいむBには餌を与えるときには何の音も聞かせず、点火するときにだけ録音した親の「ゆっくりしていってね!」という鳴き声を聞かせる。 赤ゆっくりれいむCには餌を与えるときに「ゆっくりしていってね!」という録音した親の鳴き声を聞かせ、点火するときには何の前触れもなし。 赤ゆっくりれいむDには餌を与えるときにも、点火するときにも事前に親の鳴き声を聞かせる。 つまり、「ゆっくりしていってね!」という音声に対して条件付けを行うのがこの実験の目的だ。 【実験開始】 赤れいむA 「ゆ~ゆゆ~、ゆぎゃっ!?」 仲間こそ居ないが遊具は十分に用意されている実験用のマジックミラーケージの中で機嫌良く遊んでいた赤れいむは俺が思いつきで点火した瞬間に短く悲鳴を上げた。 「ゆっぎゅりいいいいいい!ゆっぎゅりいいいいい!!」 突然、内側を火であぶられた赤れいむAの表情は苦痛と恐怖に歪んでいる。 「ゆううううう!ゆうううううう!」 大きな声で泣きじゃくり、跳ね回って助けを求めるが誰も助けになど来るはずがない。 「ゆううううう!ゆううう・・・」 痛みが引いたのか、それとも諦めたのかは定かではないし、この実験の趣旨とは関係がないので気にするつもりもないが、やがて泣くのを止めて再び遊び始めた。 しかし、親ゆっくりサイズのやわらかいボールに頬ずりしたり、滑り台から滑り降りたり、トランポリンに乗って跳ねたりしている様子に点火される前のような活発さはない。 「ゆー・・・ゆー・・・」 そんな見ているほうが虚しくなるような現実逃避じみた行動でも、30分も続けていれば遊びの楽しさが恐怖や孤独を慰めてくれるらしい。 「ゆ~、ゆ~ゆゆゆ~♪」 気がつけば内部を焼かれる前の元気さを取り戻していた。 それから1時間ほど1匹で遊んでいる赤れいむAを観察し、餌を与えてやる。 「ゆ!ゆっくり~!」 すると、お腹の空いていた赤れいむAは早速餌に飛びついた。 「む~ちゃむ~ちゃ、ちあわちぇ~!」 目に涙をためながら、本当に嬉しそうに餌を食べている。このタイミングで点火しようかと考えたが、変な条件付けが成立して食事をしなくなると都合が悪いので、それは次の食事に回すことにした。 10分ほどで餌を食べきった赤れいむAはしばらくその場でゆっくりしていたが、やがて眠くなったのかウトウトと舟をこぎ始めた。 そして、気がつけば「ゆぅ・・・ゆぅ・・・」と可愛らしい寝息を立てている。 が、食後の安眠は突然の痛みによって終わりを告げることになった。 「ゆうううううううう!?」 幸福を打ち砕く2度目の点火。唐突かつ理不尽な痛みに赤れいむAは思わず飛び跳ね、床を転げ回った。 「ゆぎゅううううううううう!ゆぎゅううううううううう!」 それから、さっきと同じようにじっと観察する。 「ゆぎゅううううううう!ゆうううううう!!ゆぅううう・・・」 先ほどより大分早く痛みから立ち直った赤れいむAは再び眠ろうとするが、なかなか寝付けない様子ですぐに目を覚ましてはぶらぶらとそこらじゅうを歩き回っていた。 恐らく、眠っているときにまた点火されることを恐れているのだろう。 幼い身で頼るものもいないたった1匹の世界に放り込まれた孤独なゆっくり。その様子を見かねた俺はケージの中に甘いチョコレートを放り込んだ。 「ゆぅ?・・・む~ちゃむ~ちゃ、ちあわちぇ~!」 赤れいむAは本当に幸せそうに口元が汚れるの気にせずチョコレートを頬張る。 その表情を眺めながら、俺は3度目の点火を試みた。 赤れいむB 赤れいむBはすやすやと寝息を立てていた。しかし、そのことは実験に何の影響も及ぼさない。 『ゆっくりしていってね!』 「ゆっきゅりしちぇっちぇね!」 何故なら、ゆっくりにはこの言葉を聞かされると反射的に返事をしてしまうからだ。 その行動は本能の領域に突入しており、食事中でも、睡眠中でも、交尾中でも反応してしまう。 「・・・?・・・ゆぅ?」 突然響き渡った声の主を探す赤れいむB。その様子を確認したところですぐさま点火する。 「ゆぎょおおおおおおおおおおお!?」 さっきの赤れいむA同様に痛みで悶絶する赤れいむB。目からは涙がぼろぼろと零れ落ちていた。 「ゆうううううう!ゆうううううううう!!」 これまたさっきの赤れいむAと同じように転げまわりながら助けを求めるが、当然のように誰も助けてはくれない。 その光景を俺は無感動に眺めていた。 不思議とさっきほどの罪悪感も同情の念も湧き上がってこない。 「ゆっぎゅちいいいい・・・ゆうう・・・」 これまたさっきの赤れいむAと同じように落ち着き始めると、せわしなくそこらじゅうを歩き始めた。 「ゆー、ゆー・・・」 しかし、この実験は条件付けをするためのものだ。落ち着いてきた頃合いを見計らって、再びあの音声を再生する。 『ゆっくりしていってね!』 「ゆっくりしていってね!」 音声に対して反射的に返事したれいむが再び声の主を探そうときょろきょろ首を振り始める。 「ゆっぎゅぢいいいいいいいいい!ゆぎいいいいいいいい!」 それからきっちり5秒後、躊躇うことなく2度目の点火を行った。 「ゆっぎゅぢいいいいい!ゆぎぃいいいいいいい・・・・・・」 俺は淡々と観察を続ける。やはり、赤れいむA同様に2度目のほうが立ち直りが早かった。 たった2例に過ぎない。しかし、一度目は誰かの助けを期待していて、二度目はその期待がない立ち直りが早かったのだと思う。 次のCとDでは点火時間を調整して、一方がより大きな痛みでも同様の結果を得られるのか確認すべきだろう。 「ゆっぐ・・・ゆっぎゅりいいいいいい・・・」 そんなことを考えている間に赤れいむBは痛みから立ち直った。もっとも、まだ呼吸は荒いが。 呼吸が整い、落ち着くのを待って今度は何の前触れも無しに餌を与える。 その匂いをかぎつけた赤れいむBはすぐさま餌に飛びついた。 「ゆ!ゆ~!・・・・・・む~ちゃむ~ちゃ、ちあちぇ~!」 赤れいむAもそうだったが、本当に幸せそうに餌を食べている。食べ方が少々意地汚いが、それもまた愛嬌なのではないだろうか? 「ゆ!ゆっくり~!ゆゆゆ~~♪」 そうしてお腹の膨れた赤れいむBは楽しそうに歌い始めた。 俺はその決して上手くない歌にゆっくりと聞き惚れ、それが終わると同時にあの音声を流した。 『ゆっくりしていってね!』 「ゆっくりしていってね!・・・ゆうううう!?」 3度目の正体不明の声。赤れいむBが声の主を探すよりも先に怯えだしたことを確認した俺は、5秒後に3度目の点火をし、次のケージに向かった。 赤れいむC 赤れいむCはケージの中で楽しそうに跳ね回っている。子ゆっくりサイズのボールがお気に入りらしく、その上に飛び乗っては、滑り落ちてを繰り返していた。 「ゆっゆゆ~♪ゆ~ん!ゆーっ!」 ポヨンっとボールに体当たりを仕掛けてはプニッと地面に着地する。実に可愛らしい。 俺は赤れいむCが跳躍した直後を見計らって、いきなり内蔵ライターを点火した。 「ゆっぎゅうううああああああああ!うううう!!ゆぎゃっ!?」 空中で突然の痛みに襲われた赤れいむCはボールにぶつかり、反動で弾き飛ばされて地面に叩きつけられた。 「ゆぎょううううううう・・・!ゆぎゅあああああ・・・!」 今までの赤れいむ2匹と違って床に叩きつけられた分のダメージがあるせいか、少しだけ口から餡子を吐き出してしまった。 しかし、致命傷には程遠いらしく、元気に地面をのたうち回っている。 「ゆううううう・・・ゆうううううううううう・・・」 それでもさっきの赤れいむたちと男歩同じくらいの時間であっさりと立ち直った。 「ゆぅ・・・」 とは言え、さすがに餡子を吐き出した分でぐったりしている。 このままでは次の点火の際に面倒なことになるかもしれないので、もう一つの実験も兼ねて例の音声を鳴らす。 『ゆっくりしていってね!』 「ゆっきゅりちちぇっちぇね!・・・ゆぅ?」 出所不明の声に困惑している赤れいむCのそばにさっと餌を落とす。 「ゆ・・・!む~ちゃ・・・むーちゃ・・・」 やはり吐血、もとい吐餡の分が効いているのだろうか。他の赤れいむより目に見えて食事のスピードが遅い。 「む~ちゃむ~ちゃ・・・ちあわちぇ~!」 それでも回復力が売りのゆっくりだ。存分に食事を堪能し終えたころには点火によって受けたダメージはすっかり消えてしまっていた。 そして、傷の癒えた赤れいむCは何をするでもなく地面に寝そべってごろごろと転がり始めた。 そこですかさず2度目の点火。非常にゆっくりしていた赤れいむCは突然の熱と痛みで飛び上がる。 「ゆうううううう!」 そして、これで6度目になる変わり映えのしない苦しむ姿を俺の前に晒した。 唯一つだけ違うことがあるとすれば、他の赤れいむたちの時にはすでに消えていたライターの炎が今もなお萌え続けていることくらいだろうか。 「ゆ゛き゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!?」 ざっと今までの3倍の点火時間。先ほどの点火とは比べ物にならないダメージを受けた赤れいむCは白目を剥いて床を転げまわっている。 口からは餡子と泡を吹き体中から妙に粘着質な液体が分泌されている。恐らく脂汗みたいなものだろう。 どうやらダメージが大きすぎたらしく、ぴくぴくと痙攣している。さすがに死なせるとあとあと問題になるので、蘇生のためにこっそりとオレンジジュースを飲ませた。 「ゆぅ・・・?う!?ゆっぎゅぢいいいいいい!」 意識は取り戻したがそれでもやはりまだ痛いらしい。またしても悲鳴を上げながら転がっている。 しかし、そのうち回復することは明らかなので赤れいむCの苦悶なんてお構いなしに再びあの音声を再生した。 『ゆっくりしていってね!』 「ゆっきゅりちちぇっちぇね!・・・ゆきぃいいいいい・・・!」 声の出所を探す余裕はさすがにないらしい。再び痛がりながら涙を流す。 が、餌を置くとのろのろと起き上がると、餌の元へと向かっていき、むしゃむしゃと食べ始めた。 「む~ちゃ、む~ちゃ・・・む~ちゃむ~ちゃ・・・ちあわちぇ~!」 ようやく食べ終わり、元気を取り戻したところで、もう一度あの音声を再生する。 『ゆっくりしていってね!』 「ゆっくりしていってね!」 その言葉の直後に誰かを探すのではなく、モノ欲しそうに辺りを見回す赤れいむCの姿が確認できた。 適当なお菓子をケージの中に放り込んで、赤れいむDのケージへと向かっていった。 赤れいむD このケージの中の赤れいむDに関してはとにかく『ゆっくりしていってね!』を聞かせなければ始まらない。 よって俺はそのケージの前に来た瞬間に中の赤れいむDの様子を確認することもせずに例の音声を再生させた。 『ゆっくりしていってね!』 「ゆっきゅりちぇっちぇね!・・・ゆぅ?」 ここまではほかの赤れいむと全く同じ展開だ。しかし、この後の展開はやや違う。 赤れいむDが返事してから5秒後に点火。ただし、通常の2倍の時間点火し続ける。 これ以上やりすぎると赤れいむCのときのように致命傷を与えかねないので、あくまで2倍程度に収めておいた。 「ゆぎゅいいいいいいいいいいいいいい!ゆぐうううううう!」 とはいえ、幼い身には十分すぎるダメージなのだろう。白目を剥いて必死に跳ね回っている。 「ゆぎょおおおおおおお!ゆぎょおおおおおおおおおおお!」 目からは涙がぼろぼろ零れ落ち、我を忘れて叫んでいるため口からは涎が垂れ流しになっている。 その様子を落ち着くまで観察し続ける。 落ち着くまでの時間は最初の2匹より若干長いような気もしたが、誤差の範囲内といった程度。 落ち着きくと、他の赤れいむ同様に弱りながらも逃避行動的な遊戯を始める。 滑り台で遊んだり、ボールとじゃれたりしているうちに徐々に心身ともに充実してきたらしく、やがて元気になった。 そこで二度目になる音声を聞かせる。 『ゆっくりしていってね!』 「ゆっきゅりちちぇっちぇね!・・・ゆぅ?」 またしても声の出所をきょろきょろと探している赤れいむDの近くにチョコレートを置く。 「ゆゆっ!ゆ~っ!」 これまた他の赤れいむと同じような反応を示し、元気良くチョコレートに飛びついた。 「む~ちゃむ~ちゃ、ちあわちぇ~!」 と、ここですかさず3度目の音声。 『ゆっくりしていってね!』 「ゆっきゅりちちぇっちぇね!・・・ゆぅ?」 5秒ほど赤れいむDが声の出所を探している様子を観察したところで2度目の点火。 「ゆぎぃいいいいいいいいいいいいい!ゆううううううううううう!」 どうやら白目を剥くのは危険信号だったらしい。他の赤れいむたちと同じ時間の点火ではその兆候は見られなかった。 と言っても、当然痛いものは痛いわけで。赤れいむDは呻きながら床を転げまわっている。 しかし、これまた他のゆっくりと大差ない時間で痛みから立ち直り、また遊び始めた。 立て込んでいるのでさっさと4回目。 『ゆっくりしていってね!』 「ゆっきゅりちちぇっちぇね!・・・ゆっ!?」 赤れいむDは明らかに警戒していた。怯えきった表情であたりの様子をせわしなく伺っている。 そうして警戒しているうちに俺が置いたお菓子の存在に気付き、元気良く食べ始めた。 で、食べ終えたところで5回目の音声再生。 『ゆっくりしていってね!』 「ゆっきゅりちちぇっちぇね!・・・ゆぅぅ?」 赤れいむDは喜ぶでもなく怯えるでもなく、その音にどういう意味づけをして良いのか分からず困惑していた。 それは他の赤れいむでは見られなかった反応だ。 俺はとっとと3度目の点火を行って、その場を後にした。 【1週間後】 赤れいむA いつ何時点火されるか分からない赤れいむAは他の赤れいむとは比較にならないほど衰弱していた。 点火回数は他の赤れいむと殆ど一緒だから肉体的にはさして他と変わりないはずなのだが、やはり常に痛みに怯えなければならない生活が堪えたのだろう。 しかし、それ以上に面白い発見があった。不思議なことに赤れいむAは滑り台を使わないどころか使おうともしないのだ。 理由は2度ほど滑り台で遊んでいるときに点火されたことがあるから。自分の中で勝手に条件付けを行っているらしい。 「ゆっきゅちーゆっきゅちー・・・」 弱々しく鳴きながらずるずると地べたを這いずる赤れいむA。 跳ねないのは跳ねているときに点火されて大怪我をしたことがあるからだ。 「ゆっきゅちちちゃいよー・・・」 虚勢を張って「ゆっくり」と鳴いていてもゆっくり出来ていないことは重々承知しているのだろう。 時々そんな悲しげな声が漏れる。 しかし、この赤れいむがゆっくりできる日は永遠に来ないだろう。 寝るときには、いつ痛みに襲われるか分からない恐怖で眠りが浅くなる。 食べるときも、食事中に点火されて窒息しかけた経験から急いで食べ物をかき込み、食べているときに点火された食材には怖くて口がつけられない。 遊ぶときにも、痛みを恐れで元気いっぱい跳ね回ることも滑り台で遊ぶことも、ボールと喧嘩することもできない。 ・・・いつ痛みに襲われるかわからないことを学習してしまった赤れいむには自由と余裕がなかった。 「ゆっぐ・・・ゆぅううううう・・・」 そして、何の前触れもなしに泣き出す。赤れいむAは情緒不安定になってしまったようだ。 赤れいむB 「ゆー!」 赤れいむBは殆ど鳴かなくなった。 少なくとも「ゆっくり」という言葉をあの音声が再生されたとき以外に口にすることはなくなっていた。 点火の際の痛みが「ゆっくりしていってね!」の直後に来ることを学習した結果だろう。 「ゆぅ!ゆぅ!」 しかし、それ以外の点では到って元気であった。 ボールにタックルして跳ね飛ばされたり、勢い良く滑り台から滑り降りてそのまま転がって行ったりと非常に楽しそうに遊んでいる。 表情も満面の笑みといった感じで、本当に楽しそうだ。 しかし、例の音声を再生すると・・・ 『ゆっくりしていってね!』 「ゆっきゅりちていってね!・・・ゆぎいいいいいいいい!!?」 点火される前から気が狂ったんじゃないかと思ってしまうほど怯え始めてしまった。 きっと、赤れいむBは群れの中に放り込んだら“ゆっくりできないこ”として爪弾きに遭うだろう。 赤れいむC 「ゆっくりしていってね!」 赤れいむCはその鳴き声をきっちりと習得していた。 この子の中では例の音声は美味しい餌やお菓子と結びついているのだから当然だろう。 「ゆっくり~!ゆっくり~!」 が、その元気さのわりには動きは非常に慎重で、あまり跳ねることをしない。 恐らく赤れいむAと同じように、いつやってくるか分からない痛みに警戒しているのだろう。 「ゆっくりしていってね!」 元気良く鳴きながら自分より一回りだけ大きいボールに頬ずりして遊んでいる。 もちろんどんなに元気な声を出していても跳ね回ったりする様子は一切見せない。 「ゆっくり!ゆっくち!」 それでもこんな風に元気でいられるのは「ゆっくりしていってね!」という言葉を心の支えにしているからだろうか? もっともそれはある種の信仰に近いものであり、そんな高度な精神活動をゆっくりがするのかは少々疑わしいところだが。 そんなことを考えながら音声を再生した。 『ゆっくりしていってね!』 「ゆっくりしていってね!・・・ゆう~♪」 赤れいむCはその言葉が聞こえた瞬間、本当に嬉しそうに飛び跳ねた。 赤れいむD 赤れいむDには少し変わった変化が見られた。 「ゆっくりしていってね!」という鳴き声をきちんと習得したという点は赤れいむCと変わらない。 しかし、その言葉を聞かされた時の反応が全く違っていた。 『ゆっくりしていってね!』という音声を聞かされた赤れいむDはその場でじっと固まって動かなくなる。 そして点火された場合、その直前にしていた行為をあまりしないようになる。 逆に餌を与えられた場合にはその直前にしていた行動を積極的に行うようになった。 つまり、音声を自分自身に注意を促すものとして認識したが、餌とも痛みとも結びつかなかったということだ。 そして点火された場合は自分が悪いことをしたから痛い目にあっていると考え、餌を与えられたときには良いことをしたと考えているらしい。 だから、あまり美味しくない餌を吐き捨てたときにあの音声を再生してみた。 『ゆっくりしていってね!』 「ゆっくりしていってね!・・・ゆ!」 その表情にはゆっくりらしからぬに緊張感があった。 3秒ほど様子を伺ってから、お仕置きの意味合いも兼ねて点火する。 「ゆぎゅううううううううううううう!ゆううううううううう!」 しばし苦しそうに転げまわるが散々味わって来た痛みであり、実験開始時よりは大分大きくなっていることもあってすぐに立ち直ると、むしゃむしゃとさっき吐き捨てた餌を食べ始めた。 【追加実験】 実験で使用した4匹を母親のいるケージに放り込んでみました。 「ゆ!れいむのあかちゃん!ゆっっくりしていってね!」 母れいむは1週間経ってなお赤れいむたちのことを気にかけていたらしく、非常に嬉しそうに挨拶をした。 「ゆっくちちちぇっちぇね!」 一度たりともその挨拶を聞いたことのない赤れいむAは舌足らずながらも本能に従って元気良く返事した。 「ゆっくちしていってね!・・・ゆぎいいいいいいいいいいいいいい!」 赤れいむBは母れいむから遠ざかり、ケージの隅で震えていた。 「ゆっくりしていってね!・・・ゆううう~!むしゃ!」 赤れいむCは満面の笑みを浮かべて母れいむに噛み付いた。 「ゆっくりしていってね!・・・ゆ!」 赤れいむDはキリッとした表情で固まっていた。 とりあえず、全員の内蔵ライターを点火しておいた。 【報告】 赤れいむDを見る限り、最も人間に従順なペットとしてゆっくりを調教するためにはとにかく痛めつけることが重要だと言えるでしょう。 ---あとがき--- この実験は点火なしで餌だけを与えて条件付けを試みないとあんまり意味がありません。 あと、特定の行動をしたときにだけ点火する形での悪戯に対する条件付けも行わないと意味がありません。 まあ、ノリだけで考えたアホ実験なので細かいところは気にしないでください。 byゆっくりボールマン このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/248.html
虐待スレ17の771 んじゃ余計な前置きいらないから、出会ったゆっくりを人間が次々と踏みつぶして駆除していくSSきぼん という天の声を聞いて勢いで書いてみた。 私は野生のゆっくり駆除のために村で雇われたお兄さんだ。 今日も駆除のために鉄底のついた丈夫な革靴を履き 杖とミスドのドーナッツが10個入った紙袋とゴミ袋を持って森に出掛ける。 ドーナッツを食べ尽くさないようにチビチビ食べながら森を歩いていると 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 「はいはい。ゆっくりゆっくり」 親れいむと子れいむ4匹の家族のようだ。 私が食べてるものが気になるのか警戒することなく近づいてくる。 すかさず私は親れいむを踏みつける。 「ぶぎゃ!?」 「ゆ゛う゛う゛う゛う゛!」 「おがあざあああああんんん!」 「なんでえ゛え゛え゛え゛ぇ゛ぇ゛ぇ!」 「やべでぇぇぇっ!! 」 「なにじでるのおぉぉぉっ!!?? 」 うるさい事を言ってくるが気にせず 子れいむを踏みつけていく。 「もっどゆ゛っぐく゛り゛じだがっだよ゛お゛ぉぉぉ!!」 「ゆるじでえぇぇ!!」 「やだああぁぁ!」 ちっ、2匹の子れいむは踏める範囲から逃げていた。 そこで杖を使い、子れいむを叩く。 「いだいいぃぃ!」 「ゆっぐり゛じだげっががごれだよおおお!!!」 ゆっくり達の断末魔を後にして、また森の散策を始める。 しばらくするとゆっくり達の悲鳴が聞こえてきた。 私と同じことをしている人がいるのかなと見に行ってみると そこには、ゆっくりれいむとゆっくりまりさがゆっくりアリス2匹に襲われていた。 「ぎもちいいよおおお、そろそろすっきりしようねえええええ!」 「ハァハァ!れいむのりぼん、かあいいいよおお!」 「やめでえええええ!!!」 「ずっぎりじだくないいいいい!!」 ヤレヤレと思いつつ、4匹のゆっくりに近づいていく。 ゆっくりアリス達は行為に夢中なのかこちらに気付かなかったが ゆっくりれいむとゆっくりまりさはこちらに気付いたようだ。 「おにいさあああん、だずげでええええ!」 「じにだぐないいい!!!」 助けを求められたならば助けてあげねばなるまい。 大きく踏み出し、ゆっくりまりさを踏みつけ、ゆっくりれいむを杖で思い切り叩く。 「ぐるじいよおおおおおお!!」 「おにいさん、ひどいことしないでええええ!!」 「その苦痛から助けてあげたんだよ」 ゆれいむとゆまりさが潰されたにも関わらず、まだこちらに気付かないゆっくりアリス達。 ほんと性欲魔人だな。 「まりさ!まりさぁぁぁっぁさぶっ!!??」 「すっきりさせぇぇぇぇぇえぐっ!!?」 見ているのも嫌になったので、すぐに踏んで静かにしてあげた。 やっぱ森は静かなのほうが良いよね。 そしてまたドーナッツを食べながら、散策を再開した。 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 1時間ほど歩いているとまた声をかけられた。 振り向いてみるとそこには6匹のゆっくりまりさ一家がいた。 警戒しているのかこちらに近づいてこようとはしない。 だが、逃げようともしない。私が持っているドーナッツが気になっているようだ。 「はいはい、ゆっくりしていってね」 「ここでゆっくりしたいならごはんちょうだいね!」 「おにいさん、おいしいものゆっくりたべさせてね!」 「たべたい!たべたい!」 「たくさんあるから良いよ」 と言って近づこうとすると 近づいた分、後ろに下がるゆっくりまりさ達。 「ん?欲しいんじゃなかったの?」 「それをこっちになげてね!」 「ゆっくりなげてね!!」 「にんげんはこわいからあまりちかづかないでね!」 なるほど。ドーナッツは気になるが警戒心が強いため人間に近づかれるのはイヤなようだ。 だったら人間に近づくなと思うが、警戒心より食欲のほうが強いのだろう。 もっとも私はそんな警戒心のあるゆっくりのためのドーナッツも持ってきている。 箱の隅に置いておいた痺れ薬入りドーナッツを2個手に取り、人数分に千切ってからゆっくり達に投げてやる。 「ほら、みんなでお食べ」 「おにいさん、ありがとおおお!」 「うっめ!めっちゃうっめ!!」 「むーしゃ!むーしゃ!しあわせー!」 「とろーりあまーい!!!」 その様子を眺めていると、薬の効果が効いてきたのか 「ゆっ!ゆっ!からだがしびれてきたよ!!」 「からだがうまくうごかないよ!!」 「なんでええええええ!!!」 薬が効いてきたことを確認すると、ゆっくり達に近づいていく。 「ゆっ!おにいさん、こっちにこないでね!」 「ゆっくりどっかにいってね!」 「まりさたちはここでやすんでいくから、おにいさんはおうちにかえってね!」 そんな声を無視して、近づいてにっこりと笑いながら告げてあげた。 「ゆっくり死んでね」 最初の1匹目はゆっくりまりさ一家に恐怖してもらうために一撃で潰してあげた。 親まりさは声がうるさいので舌と下顎を思い切り踏みつけ喋れないようにした。 残りの子まりさ達は加減をして何度も踏みつけ、徐々に踏み力を強くする。 「ゆー、やめでえええ!」 「な゛に゛す゛る゛の゛お゛お゛お!」 「なんでこんなひどいことするのおおお!」 「じにだぐないいい!!!」 「おかあさん、だずげでえええ!!」 ゆっくり達の絶叫を聞きながら 丹念にそしてすぐには死なないように叩いたり踏んたりしていく。 だが、そんな楽しい状況も長く続かず10分もすると子まりさ達は全員死んでしまった。 「ゅ!ゅ!ゅ!」 親まりさは、舌と下顎を潰されたため、声を上げることも逃げることも出来ず 滂沱の涙を流しながら子まりさが死んでいくところをずっと見ていた。 どれくらい餡子が美味しくなったかなと頬を千切り、中の餡子を食べてみる。 親まりさは体の内部を弄くられて狂ったような体を震わせる。 「う~ん。けっこうなお味で」 「ゅーゅーゅー」 なかなかの美味だったので、ドーナッツの紙袋の中に親まりさの餡子を1/4ほど入れ持って帰ることにし 「あとは森の生物にゆっくり食べられてね」 とだけ言い残し、日も傾きかけてきたので帰ることにした。 親まりさは泣きながらこちらに何か言おうとしているが喋ることが出来ず唸っていた。 意識を残したまま放置され、森の虫たちにゆっくり食べられ苦しみながら死んでいくことだろう。 私はゆっくりまりさが嫌いなのだ。 帰る途中でまたゆっくりれいむ一家に出くわした。 美味しいものを持っていると匂いに釣られてゆっくり達が寄ってくるから笑いが止まらない。 「これをあげるよ」 と言って、使わなかった残りのしびれ薬入りドーナッツを投げてやると 一目散に落ちたドーナッツに駆け寄るゆっくりれいむ達。 生存本能より食欲のほうが勝ってるってのは生物としてどうなんだろうなと思いつつ 動けなくなったゆっくりれいむ一家を用意したゴミ袋に詰めていく。 「さて、家に戻ってこいつらをどうやって料理するかな」 fin このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4133.html
春。花見の季節。 街道や公園には桜が見事に咲き誇り、公園では多くの人が桜の木下にビニールシートを敷いて、宴会をしていた。 俺は自転車で街へ出かけていった帰りに、公園によってきた。 理由は、桜の見事な咲き誇りように思わず見とれてしまったからだ。 それに、公園では多くの人のにぎやかな声が聞こえる。 このような声を聞いてしまうと、ついつい自分もそちらに引き寄せられるように行ってしまう。 公園はお祭りとなっていた。 桜の木の下で親子連れや会社の人たちが楽しく花見をしており、公園の道沿いには屋台がたくさん並んでいる。 祭り騒ぎで、屋台を見たら、ついつい屋台のほうへと体が引き寄せられてしまう。 屋台で売られているものは、普通には無い魅力があるのだ。 値段が高いが、花見を楽しむならば気にする必要は無いだろう。 そこで、俺は屋台でまず焼きとうもろこしを注文した 「へい、おまち!!」 おっさんの見事な腕により、綺麗なこげ茶色の焼き目を入れられたとうもろこしは、かけられた醤油の匂いと見事にマッチして、 非常に美味しそうな香りを出していた。 我慢できなくなり、思わずかぶりつく。 「うまい!!」 焼きとうもろこしなんて久しぶりに食べた。あまりの美味しさに思わず口が進んで行く。 気がつくと、もう全部食べていた。 「おうおうおう!!兄ちゃんいい食いっぷりだな!!作った俺もうれしいぜ!!」 どうやら夢中になって食べていたところを一部始終見られてしまった。 思わず赤面するが、屋台のおっさんから褒められてまんざらでもない気分になる。 だが、そんなしあわせー♪な気分をぶち壊す不快な声が聞こえた 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 最近になって急遽現れた不思議生物、ゆっくりだ。 内訳は、れいむ、まりさ、そして子れいむ、子まりさといった親子連れ4匹だ。 現れた最初あたりは、世間はその不思議生物に対して「友好的でもなければ否定的でもない中立的」な立場をとり、 色々とコミュニケーションを図った。 しばらくすると、ゆっくりのペットブームが始まったが、またしばらくすると、ゆっくりの及ぼす害が深刻となり、 世間は「中立的な対応」から一転し、「ペット以外は全て害獣」という対応になった。 ゆっくりが現れたはじめは、虐待をする人が白い目で見られたが、今では制裁対応ならば白い目どころか褒められるようになっている。 どうやら、このゆっくり親子はこの花見の人たちに対して物乞いをしているのだろう。 あたりを見渡すと、花見をしている2歳児をつれた親子連れに、まりさと子まりさがなにやら話しかけているし、 宴会をしているおっさん達のところではれいむが歌を歌っている。 野良ゆっくりは人に対して物乞いをするか、人と接するのを避けるのかのどちらかしか選ばない。 どうやら、この公園にいる野良ゆっくり達は前者のようだ。皆薄汚れて汚いが、顔は必死だ。 明日の食い扶持もままならないのだろうか。 すると、俺と屋台のおっさんのところに現れたゆっくり親子は 「おにーさん!!そのとうもろこしさんちょうだいね!!」 「まりさたちおなかがすいているんだぜ!!」 「「ちょーらいね!!」」 と言って来た。それを見たおっさんは 「おぅ、兄ちゃん。こいつらはゴミのようなものだからな、捨てるんならゴミ箱があるからそこに捨ててきてくれねぇか? あそこにゆっくり専用ゴミ箱があるからよ」 「でいぶだぢごみじゃないよぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおお!!!!!!」 と、れいむの訴えを無視して、おっさんは俺に指差した方向をみせた。 公園のゴミ箱の横にある、同じゴミ箱。だが、こちらは水が張っており、底にはスクリューが、後ろにはタンクのようなものがあり、 ちょっと近代的なゴミ箱と言ったところだ。 だが、これはゆっくり専用ゴミ箱である。ゆっくりは生命力と繁殖力が高いので、確実に殺処分しないといけないのだ。 そこで編み出されたのがこのゴミ箱。水に弱いゆっくりに対して効果覿面で、確実にしとめるために一定時間おきに底のスクリューが回転する。 溜まった水は、後ろのタンクへとうつされ、公園の水道から新たな水が補充されるといった仕組みだ。 「俺達みたいな食い物を作る連中からすれば、こいつらは目の敵でな。俺はとうもろこし作っていて手が離せねぇからよ。 頼むからなんとかしてくれねぇか?」 「はぁ、わかりました」 といったものの、いきなり殺すというのもなんか気がひける。それに、とうもろこしは全部食べたから、この食べかすくらいならあげてもいいかな。 俺はそう思い、ゆっくり達に食べ終わったとうもろこしをあげた。おっさんはしかめ面をしたが、その様子を見守る 「ゆっ!!おにーさんありがとう!!ゆっくりもらうよ!!」 れいむが俺に礼を言うと、親子たちは一心不乱に食べかすにくらいつき 「「「「むーしゃむーしゃ!!!・・・・・おいしくないぃぃぃぃぃいいいいいいいいいいいい!!!!!」」」」 号泣した。そりゃ、食べ終わった後だからな。おっさんが惚れ惚れするくらい綺麗に食べたのだ、食べる部分なんて全く無い。 「ぷんぷん!!たべれるところなんてぜんぜんないじゃないの!!おにーさんばかなの!!」 「まりささまにとっととおいしいごはんをもってくるんだぜ!!」 「しょーだしょーだ」 「ちねー、やくたたじゅのじじぃはちねー」 うむ、ゲスだな。 ゆっくりになど興味は無いが、こんなにもむかつく言葉を言われて、怒らない人間がいるだろうか?いや、いない。 そう確信した俺は、親まりさを掴むと、ゆっくり用ゴミ箱へともっていった。 まりさは野良であるが、このゴミ箱の恐ろしさは知っていた。他のゆっくりがここに入れられると「おお、ぶざまぶざま」とバカにしていたが、 自分がそのゆっくり達と同じ道を歩んでいるということがわかると、先ほどの強気な態度から一転して命乞いを始めた。 「そそそそ、そこはゆっくりできないんだぜ!!いれるのをやめるんだぜ!!!」 「断る。お前ゲスだし」 「あ、あやまるんだぜ!!だからゆるしてほしいんだぜ!!」 「そうかそうか、謝るのか」 「そ、そうなんだぜ!!ゆるしてほしいんだぜ!!ごめんなさいだぜ!!」 「だが断る」 「どぼじでぞんなごどいうのぉぉぉぉぉおおおおおおおおおお!!!!!!!」 「この俺が最も好むことは、命乞いをしているゆっくりに希望を与えた後絶望させることだ」 決して虐待好きというわけではないが、単にうざいから殺すというだけだ。 身をよじり、涙をひっきりなしに流しながら命乞いをし続けるまりさを、俺は容赦なく専用ゴミ箱にいれた。 だが、まりさは空中で帽子を脱ぎ、下にしいて、見事水に着地した。 ゴミ箱に入れるまでにほんのちょっとしか時間が無かったわけだが、鮮やかな行動であった。 「ゆっゆっゆ!!ばかなじじいだね!!まりさはみずさんにつよいから、ここにいれられてもしなないんだぜ!!」 「そうか、でもそこからどうやってでるんだ?」 「じじいはばかなの?ぴょーんってとべばでれるんだよ?」 「じゃあ、帽子は置き去りなんだな」 「・・・・・ゆ?」 言われてようやく気がついた。このゴミ箱ではまりさ種がこうやって生きながらえるが、出たとしても命と同じくらい大切な帽子を置き去りにするのだ だから、どちらにせよここに一度入れられたら後は地獄がまっているだけである。 それに気がついたまりさは、カタカタと震え始めて 「ゆゆゆゆ、ゆっぐりでぎないよぉぉぉぉおおおお!!!おにいざんだずげでぐだざいいいいいいい!!!!」 命乞いを始めた。これで何度目かわからない。正直うんざりしてきた 「お前バカだろ。馬鹿にされた相手がみすみす馬鹿にした奴を助けると思っているのか?」 「おねがいじばずぅぅぅぅうううう!!!!あやばりばずがらぁぁぁああああ!!!」 「お前さっきもそういったが反省してなかったじゃないか、だからそこで死ねよ。他の人に迷惑かけるまえに死んどけ」 「やだぁぁぁぁああああ!!!!ゆっぐりじだいぃぃぃぃいいいいいいいいいい!!!!!」 「まぁ、悲しむな。お前の家族も一緒にさせてやるからさ。えーと、目盛はと・・・・。うん、ちょうどスクリューが動くな」 俺はゴミ箱の水の目盛を確認した後、ゴミ箱に必死になって体当たりをしている残されたれいむ親子を持ち上げ 「そんなにまりさにあいたいなら会わしてやるよ」 そういって、ゴミ箱のなかにいれた 「ば、ばりざぁぁぁ!!だずげでっ!!!だずげ!!がぼがぼがぼ・・・」 「で、でいぶぅぅぅぅぅぅううう!!!??」 「おきゃーじゃああああ!!!!!かぽかぽかぽかぽ・・・・」 「まりじゃじにだぐにゃいよぉぉぉぉぉぉおおおお!!!!こぽこぽこぽ・・・・」 「お、おぢびじゃぁぁぁぁぁあああああああああああん!!!!!!」 愛するれいむは、水の中へと沈んでいき、最愛の2匹の子ゆっくりもれいむの後を追った。 子まりさはまりさと同じく水に浮こうとしたが、落ちてる最中に回転するなどそんな高度な技が子ゆっくりにできるはずもなく沈んでいった。 「あ゛ア゛あ゛ア゛あ゛ア゛あ゛ア゛あ゛ア゛あ゛ア゛あ゛ア゛あ゛ア゛!!!!!!」 とめどなく涙を流すまりさ。どうやらゲスだが、家族を見捨てるほどではないらしい。 だが、そんなことなど俺にはわかるはずもなく、俺はれいむ親子を入れた後のゴミ箱の水の目盛が規定値に達したのを確認した。 「じゃあ、向こうでも仲良くしろよ」 俺がそういって、背中を向けると、ゴミ箱下部のスクリューが回転をし始めた。 「ど、どぼじでみずさんがうごいでいるのぉぉぉぉぉおおお!!!!ゆっぐりじでねぇぇぇ!!!ゆっぐりじでねぇぇぇ!!!! まりざをゆっぐりざぜでぇぇぇえええええ!!!!!」 しばらく悲鳴が聞こえたが、トプンと音が聞こえた後も、スクリューは回り続けた。 その後、ゴミ箱の後ろのポンプが作動し、水の入れ替えが始まった。 ゴミ箱の水が規定値に達すると、スクリューがセンサーによってそれを感知して回転させるのだ。 こうして、先ほどのまりさのような生き残りも、残さず処分するという寸法である。 そして、回転させた後は綺麗な水に変えて、あとは水が規定値に達するまでその動きを止める。 今日もゴミ箱は正常運転だった。 「おう、兄ちゃんありがとうな。ゲスを消してくれて感謝するぜ。ああいったゲスはどんどん消えていくのがいいよな。 俺も見ていてスカッとするぜ。こいつは面倒ごとを押し付けた駄賃だ、うけとってくれや」 俺はとうもろこし屋のおっちゃんから、ゆっくりを駆除してくれたことのお礼として、半分ほどの大きさの焼きたての焼きとうもろこしをもらった。 おっちゃんは相当目の敵にしていたらしい。俺があのゆっくりの処分をしていた一部始終を全部見ていたが、白い目で見るどころか、 このようなお礼の品まで受け取った。 俺はまた美味そうにそれにかぶりつき、全部食べ終えた後、またゆっくりがねだって来た。 さっきの奴より礼儀はなっていたが、正直うざかったので、今度はなにもやり取りもせずにそのままゴミ箱にいれた。 ふと、目を凝らすと、先ほどの親子連れは親まりさを池に投げ込んでいた。2歳の子供はひっきりなしに泣いている。 どうやら、エサをもらえなかった親まりさは怒りの余り2歳の子供に対して体当たりをしたようだ、 自ら人間の、しかも親の逆鱗にふれるとは、なんと愚かなことか。子まりさが親まりさの名前を叫んでいたが、親子連れは無視してその場を離れた。 きっと、あの子まりさは長くはいきれないだろう。 宴会をしていたおっさん達はさらにヒートアップしていた。 どうやらお歌をうたっていたれいむを、酔った勢いでいじめていた。中には上司の名前を呟きながら、年の割にはいいパンチを繰り出してる おっさんもいる。相当ストレスがたまっていたみたいだ。れいむもいいとばっちりを受けたものだ。 花見を十分楽しんだ俺は、屋台がたくさんあるところへと脚を運んだ。 屋台をあちこち見ていると、どれもやりたくなってしまう。 スーパーボールすくいならぬ、ゆっくりすくいとか、金魚釣りならぬ水上まりさ釣り、りんご飴ならぬゆっくり飴などなど。 ゆっくりが現れてからというもの、色々とバリエーションが増えたものだ。一般の人々も実に楽しんでいる。 そこで、俺は一つの屋台を見つけた。それは 「スピードクジ」だった。 最近出た話題のゲームソフトや、ゲーム機本体などを陳列し、くじ引きによって当てるというアレだ。 かくいう俺も、滅多に当たらないそれにいくらつぎ込んだことやら・・・・。 だが、そのクジは、取り扱っているものはゲームソフトやおもちゃではない。 景品はすべてゆっくりだった。 それぞれのゆっくりが透明な箱に入れられている。 だが、サイズの小さい子ゆっくりや赤ゆっくりなどは大きい箱に入れられて、ペットショップのハムスターのごとく何気なしに生活している。 中にはおうたを歌っているものも居るらしいが、防音を施された箱なので、こちらには一切聞こえなかった。 上に掲げられた表をみると、クジには1~150までの番号が割り振られてあり、 1等:1~10、2等:11~30、3等:31~60、4等:61~100、5等:101~150。 となっているようだ。 だが、そのクジの数だけゆっくりがいるというわけではなく、1,2,3等まではその数字内の数の分のクジしかないが、 4等より下は被っている数字がたくさんあるということだ。 まぁ、そうでもしないと、1等が簡単に取られるかもしれない。そういうのはクジをする屋台の常套手段というべきだろう。 「へいらっしゃい!!ゲスから高級ゆっくりまであるよー!!兄ちゃんもやっていかないかい!!??」 立ち止まっていたら、店主に声を掛けられた。答えようとしたところ、外人学生カップルが来て。 「ねえダニエル、ゆっくりがいるよ」 「ワオ!ほんとだ!!」 「ねぇ、このゴールドバッジのゆっくりかわいいね!!あたしほしい!!」 「オウ、愛するステファニーが欲しがっているなら、挑戦するさ!!タイショーこれやらしてください!!」 「おう、異国のにーちゃんがんばれや!!」 日本に留学してきたのだろうか、すごく日本語が上手だった。 そして、ダニエルと呼ばれる青年がクジが入った箱に手を突っ込み、おもむろに一つのクジを引いた 「おう、引いたな!じゃあ、どれどれ・・・・、おめでとう!!3等だ!!」 「WAAAAAAAAAAAAO!!!!」 3等が当たったらしい、景品はシルバーバッジをつけたゆっくりれいむだった。 「どうだいステファニー?」 「すごくかわいいわ!!ゴールドじゃないのが残念だけど、シルバーでも十分いいわ!!」 外人カップルはとても喜びながら、ゆっくりを連れて去っていった。 かなり上等な物を当てたカップルを呆けて見ていた俺を、店主は見計らったように答えた。 「おうおう兄ちゃん!!さっきも見たように、運がよければいいのがあたるぜ!!やってみないかい!?」 と店主に言われ、やることにした。こういうのは当たらないはずだ・・・・。 だが、目の前でああもいいのが当たったのならば、ついついやってみたくなる・・・・。 俺は金を払って、クジを一つひいた。 「よし!ひいたか!!どれどれ・・・・、残念!!5等だ!!」 そういうと、店主は裏から箱に入ったれいむを持ってきた。結構でかい。 試しに蓋を開けてみると 「ゆっ!!おにいさんがれいむのどれいになるひとだね!!とくべつにれいむでゆっくりさせてあげーーー」 やかましかったので、速攻で閉めた。なにやらガタガタ騒いできたが、防音処理をしているので、何を言っているのかわからない。 「おっさん、これゲスじゃん。いらねぇよ」 突き返そうとしたが 「でもよ、兄ちゃん。せっかく当てたんだ、それがどんなにクズであれ、欲しがっている人にあげてみたらどうだい?」 といわれた。なるほど、たしかにそうだ。店主につき返すことも出来るが、そうすれば金を自ら捨てるようなものだ。 どうせなら、欲しがっている人にあげようか、だが、こんなゲスを欲しがる人なんているのか・・・。 そう考えていたら、小学生くらいの一人の少年がこちらを見ていた。気になる目線なので、近づいて話しかけると。 「お兄ちゃん、そのれいむいらないの?」 「ん?これか?ああ、いらないかどうしようかと思っていたんだが・・・、いるかい?」 「うん!!!」 なんと、あっさり承諾。さすがに驚いた俺は尋ねた 「でもこいつはもう成体だし、言うこときかない上にうるさいよ?人間も見下しているし。それでも欲しいの?」 「うん!!僕を虐める奴がいるから、そいつの顔を思い出しながら殴るんだ!!殴ったら訓練にもなるしね!!」 なんと、そういう理由だったとは。この幼さで虐められているとは、同情を禁じえない。 だが、見た感じ、体はかなり鍛えられているし、背中には空手着を背負っていた。なるほど、馬鹿にされないよう力を付けているようだ。 こいつは大物になるだろう。そう感じた俺は、快くれいむをあげた 「お兄ちゃんありがとう!!」 礼を言った少年はさっそくれいむを取り出し 「ゆ!!こんどはなまいきなくそがきだね!!れいむがじょうげかんけいをおしえて」 見事な正拳突きをれいむに叩き込んだ。れいむの顔あたりから白い物体が飛び出した。よくみると歯だった。 「べびぶぼばんびょうなばがあああああああああああああああああああああ!!!!!!!」 「サンドバッグは喋らないよ、黙っていてね。あとでたっぷり練習してあげるから」 そういった少年は、れいむを箱に入れなおし、意気揚々と帰っていった。 あの幼さで、あの鋭い正拳突き・・・・。将来大物になるだろう。 とりあえず、喜ばれたので、もう一回チャレンジしてみようとおもった。 「おう、兄ちゃん。いいことしたなぁ?次はいいのが当たるように祈っているぜ!!」 店主からからかわれたが、俺は気にせず黄金の右腕に念力を込めて、勢いよく引いた。 「おう勢いよかったな!!どれどれ・・・・おっ!!4等じゃねえか!!おめでとう!!この中から掴んでくれ!!」 そういうと、店主は黒塗りの箱を取り出した。クジを入れていた箱と似ているが、外に4等と紙が張られている。 そして、厚手の柔らかい手袋を渡された。これをはめて取り出すらしいが、相当綿を詰めているのか、指が余り動かせない。 力強く握っても、ピンポン玉サイズの隙間ができてしまう。 「おっさん、これ物がつかめないんだけど」 「いいからいいから!それをはめて、この中から一つだけとってくんな!!」 にやついているおっさんをいぶかしげに見ながら、俺は中に手を突っ込み、たくさんあるピンポン玉サイズの柔らかい物の中から一つ取り出した。 手を開いて見てみると、それはとてもかわいらしい赤ちゃんゆっくりれいむだった。 「ゆっきゅちちていっちぇね!!」 「おう兄ちゃんかわいい赤ゆっくりを捕まえたな!!育ててくれや!!!」 なるほど、厚手の手袋をされたのは、手触りによって、自分の欲しい種類のゆっくりを取らせないようにするため、 そして、中に綿をたくさん詰めているのは、間違って握りつぶさないようにするためか。俺は理解し、納得した。 手袋をはずし、自分の手の上に乗せた赤ゆっくりを見た。結構可愛いな、こいつなら育ててみてもいいかな・・・。 「ゆ!!おにゃかがしゅいたよ!!ごはんをもってきてにぇ!!じじいはしゃっしゃとうごいちぇね!!!なにゆっきゅりちてるにょ? ばかにゃの?ちびゅっ!!!」 全てを言い終わらぬうちに、握りつぶしてしまった。 ハッ!!ついあのうざったらしいトークを聞いていたら体が反応してしまった!! これは不味いところを見られたかな・・・。そう顔を伏せようとしたが。 「おうおう兄ちゃん。いい握り潰しっぷりだな!!どうやら赤ゆっくりでもゲスだったみたいだな!!運がよければいいのもあるぜ!!」 店主は怒るどころか笑っていた。白い目で見られるのを覚悟していたが、店主はそんなことはしなかった。 それどころか、さっきより朗らかな笑顔を見せている。俺が潰したのがそんなに面白かったのか? この店主は変人なんじゃないかと思ってきた。まあ、景品がすべてゆっくりだし、変なところがあるのは仕方ないか。 だが、このまま去ると負けてるような気がしてならなかった。なぜかは知らないが、俺はそう感じた。 俺は金を次々と出し、クジを引いていった。 「残念!!5等のゲスまりさだ!!!かわいがってやんな!!」 「じじい!!さっさとごはんをもってくるんだぜ!!!とっととするぎゃぼっ!!!!」 「惜しい!!4等だ!!赤ゆっくりをとってくんな!!!」 「ありしゅはとかいはにゃのよ!!どれいでいにゃかもにょのぢぢいはとっととありしゅをぷびゅっ!!!」 「また残念!!5等のゲスちぇんだ!!猫好きならがんばって育てな!!!」 「ちぇんはらんしゃまにしかようはないよー、じじいはらんしゃまをとっととさがしてきてに゛ゃっ!!!」 「惜しい!!また4等だ!!」 「まりしゃはとってもおにゃかしゅいたーーー」 「またまた5等だ!!こんどはぱちゅりーだ!!」 「むきゅ、のろまでばかなじじいはとっととまどうしょをもってきてーーーー」 「5等だ!!呪われているのかあんたは!?」 「チンポチンポチんぽちんぽちんぽーーーーーーー」 「4等だ!!また盛大につぶすのか!?」 「れーみゅおにゃかしゅいたよ、じじいはーーーー」 「4等ーーー」 「まりしゃはーーー」 「5等ーーー」 「まりざぁぁぁあああああーーーーーー」 「5等ーー」 「じじいはーーーー」 「4等ーー」 「おにゃかしゅいーー」 何分経っただろうか。 よく見ると、俺の足元にはたくさんのゆっくりの死骸が積まれていた。 店主は俺の行為を咎めるどころか見て楽しんでいる。俺もゆっくりなどに興味はなかったが、こいつらを虐めるとなんか楽しくなってきた。 「おう兄ちゃん、いいつぶしっぷりだったな。疲れただろ、飲めや」 店主はそういうと、俺に冷たい缶コーヒーをくれた。たくさん潰して運動したせいか、喉がカラカラだった。 「で、まだやるかい?」 飲み終えた俺に、店主は尋ねた。一回が安いとはいえ、相当な金をかけていた。気がつくと財布が軽くなっていた。 「おっさん、俺次で最後にするよ」 金も運も使い果たした感じがした。やはりクジなど当たるものではなかった。心の奥で涙を流しながら、俺は店主に告げた。 「ーーー、そうか。じゃあ、これの中から引けや」 そういうと、店主は別の箱を取り出した。中にはクジがたった5つだけ入っていた。 「いいもん見せてくれたお礼だ。この中のクジは、1等から5等までが一つずつ入っている。お前さんの最後の運をかけてみな」 正直、理解できなかった。本来こういった出血大サービスなど行うはずが無い。 だが、この店主は違った。 「お前さんはいいつぶしっぷりを見せてくれたからな。昔の俺を思い出す気分で、気持ちよかったんだぜ。遠慮せずにどれか引け」 「は、はぁ」 正直、店主の考えがわからなかったが、とりあえず何も考えず、無心の状態で引いてみた。 そして、店主に渡さず、自分で開いた。 そこには、「1」と書かれていた。 「・・・・・・あ、1等」 1等を引いたというのに、実感がわかなかった。今まで4,5等だったからか、喜ぶ気などおきなかった。また、5等だろという感じだった。 だが、再度その数字を確認すると。体がどんどん熱くなり、心臓の鼓動が早くなり、脳がエンドルフィンを大量放出していた。 「おおおおおおお、おっさんおっさん!!1等!!1等!!!」 「おおおお!!!ついに引いたか!!!おめでとうございまあああああああす!!!!!」 店主は鈴を大音量で鳴らしまくった。途中で、通行人が足を止めたりして、何が起こっているのかを見ていたが、 ゆっくりクジだということに気づくと、すぐに興味をなくした。一般人にとってのゆっくりなどそういうものだ。 「で、で、で、で!!!1等は!!1等はどんな景品なの!?」 「はっはっは、あわてるな兄ちゃん!!いまだしてやるからな!!」 店主がごそごそと動いているのをみて、俺は想像した。 1等だからゴールドバッジかな・・・、頭のいいぱちゅりーなのか、猫みたいにかわいいちぇんか、大量に潰したが、れいむやまりさかもしれない。 もしかしたら、きめぇ丸なのかな・・・。 今陳列されているのは、大半が通常種だ。だから通常種だろうと俺は思っていた、だが・・・ 「おめでとう!!1等希少種のゆっくりゆかりんです!!!」 「うわあああああああああああああああああああ!!!まじでぇぇぇぇえええええ!!!!」 予想を超えていた。こういった屋台の商品はあまりいいものが無いと期待していたが、まさかこのようなものが出てくるとは。 喜びと驚きのあまり大声をだしてしまった。そのゆかりんには金に輝くバッジがついていた。これもまたうれしかった。 「ゆっかりしてくださいね!!」 俺はそのゆかりんを大事に抱えて、店主に礼をいい意気揚々と帰っていった。 そのあと、俺とゆかりんはとても楽しく過ごした。学生の俺はゆかりんというとても素晴らしい話し相手のお陰で、めきめき勉学に励み、 いい成績を収めることができた。悲しいことがあっても、ゆかりんが慰めてくれるのはうれしかった。 ゆっくりに興味などわかなかったが、あのゆっくりクジをしていた店主と、そこの景品のゲスゆっくりと出会ってから、 俺はゆっくりに興味を持ち始めた。今ではゆかりんと楽しくゲスを制裁している。虐待って面白いな。 もっと楽しく虐待するために、虐待連盟というのがあるから、所属申請してみようかな。 今楽しく過ごしているのも、あの祭りのお陰だ。今でも祭りがあると、ゆかりんを連れて遊びにいっている。 やはりお祭りは楽しいな。 見事1等を当て、景品の金バッジゆかりんを持ち帰った兄ちゃんを見送った店主は、店じまいをした後タバコをふかした。 「ふぃーっ、今年もいい潰しっぷりが見れたな。これだ、これだよ、これが俺が見たかったものだったんだ」 元は虐待お兄さんとして活躍しているが、最近の虐待ではどうも今ひとつに感じていた。 いつも同じようなことをしているような気がして、マンネリ感がぬぐえなかったのだ。 そこで、考えたのだ。ゆっくりに対して何も思っていない人が、ゆっくりの高慢に怒り潰すのは面白いのではないか?と。 それを何年も前から今までやってきた。結果、自分が虐待するよりも面白いものが見れた。 ゆっくりが死ぬザマを見るのも楽しいが、ゆっくりを潰している人の顔を見るのも楽しかった。さまざまな表情が見れてよかった。 今年は大収穫だ、あの兄ちゃんは実にスカッとする潰しっぷりと、いい表情をしてくれた。実に面白かった。 それに、このクジでゆっくりを大量に潰した人は、後々虐待連盟に顔を出すことが多々あった。きっとあの兄ちゃんも顔を出すだろう。 その時は、なんて顔して会えばいいだろうか。あの兄ちゃんに、俺の持てる虐待の全てを教えたら、どんな風に化けるか。 そう考えると、わくわくしてきた。 これだから、祭りはやめられない。 あとがき 最近近所で祭りがあって、スピードクジに大金出して見事敗北しました。 悔しい!!でもやめられないっ!! byロベルト このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/394.html
「ゆっくり」という生き物なのか食い物なのかよくわからん存在をご存知だろうか? 大抵の生き物は食い物にもなるだろう、とかそういう生易しい問題じゃないんだ。 姿かたちを端的に説明すると人間の頭部だけ独立して動いているような感じだ。しかも、何故か幻想郷の有名人の顔にそっくりだったりする。 こいつらは中身が饅頭なのに何故か喋ったり、飛び跳ねたりとフリーダムに生きているんだ。 そいつらが最近幻想郷で大量発生したことは有名な話で、畑を荒らしたり、人様の家に勝手に上がりこむことから一時は害獣扱いされて、無条件に駆逐の対象にされていたんだが、 こういう気色の悪い生き物を可愛がる虫愛づる姫君よろしくの物好きがいたり、こいつらが意外に美味であることが明らかになったり、ストレス解消に便利だったりといろんな用途が発見されたことで最近では益獣扱いされている。 こいつらの生態については前もって説明しようとすると冗長になるから、必要なときに必要なことだけを話していく事にするとして・・・とりあえず、自己紹介をさせてもらう。 俺は幻想郷で1,2を争うといっても過言ではないゆっくり愛好家だ。名前なんて気にする必要はない。 俺がどのくらいゆっくり好きかというと・・・ちょっと長くなるがのろけ話に付き合うつもりで聞いて行ってくれ。 まず西に虐待で潰されたゆっくり霊夢がいれば死体を回収しに行く。 ちなみにゆっくり霊夢ってのは黒髪と赤いリボンが目立つ博麗神社の巫女さんそっくりのゆっくりのことで、非常に頭数の多い種でもある。 え、虐待をやめさせないのか? そんな事するはずがない。そんな事したらストレス解消って存在意義を失って、また害獣として駆逐されてしまうじゃないか。 だから、ゆっくり愛好家の俺はゆっくりの幸せのために虐待を黙認しているんだよ。まあ、皆ゆっくりが好きだから大抵の場合、ちょっと愛のムチが過ぎただけなんだけどな。 たまに運悪く死にきれなかったゆっくりがいたら可哀そうだからきっちりと楽にしてやることも忘れないぞ? 東に餓えたゆっくり魔理沙がいればさっき回収した肉片を食べさせてあげる。 ゆっくり魔理沙は黒い三角帽子を被ったゆっくりで、数が多い上にふてぶてしくて腹黒くて、人里では一番嫌われている種だったりする。 共食いさせるなんて残酷だ? そんな事はないんだな、これが。こいつらは知能が低いから共食いであることに気付かない。 それに仲間の血となり肉と・・・じゃなかった。餡子となり皮となれるなら死んだゆっくりだって本望ってもんだろ? そういうわけで、ゆっくり愛好家の俺はゆっくりの幸福のためにゆっくりにゆっくりの死体を食べさせるんだ。死体じゃなくて残飯って言ったほうが適切かもしれないけどな。 北に交尾中のゆっくりアリスがいれば引っぺがして俺が代わりに最後まで犯ってあげる。 ゆっくりアリスってのはとにかく年中盛り付いている淫乱ゆっくりで、ゆっくりを増やすためだけにいるような存在だ。ちなみに何故かゆっくり魔理沙を好んで襲う。 何、わけが分からない? そういや言ってなかったっけ?ゆっくりは交尾の後の出産で命を落とすことが多いんだ。でも、産みの苦しみを味わいながら死ぬなんて可哀そうだろう? でも、俺が代わりにイかしてあげれば、すっきり出来るし、何より死ぬこともない。 たまに俺のイチモツで餡子をかき回されるのが気持ちよ過ぎたのか、そのまま逝ってしまう奴もいるけど、快感に包まれて死ねるんなら本望に違いない。 南に生まれたてのゆっくりぱちゅりーがいればすぐさま保護してしかるべき場所に預けてあげる。 自然の中で生まれたものは自然の中で生かすのが一番じゃないか? いやいや、こいつらは饅頭みたいなものだし、食欲をそそる匂いを発するくせに他の動物に対抗する武器を全く持っていないんだ。 つまり野生のままだとひたすらハンティングされる側ってことだ。それはあまりにも可哀そうだろ? 特にこのゆっくりぱちゅりーは体が弱くて、野生だとわずかな運動やストレスで死に至ることもあるから他の種以上にしっかり保護してやらなくちゃならない。 だから、加工所や稗田様のところに預けて保護してもらうのさ。そうすれば野性よりもずっと長く、安全に生きられるだろ? まあ、稗田様のところに預けたゆっくりの様子を見たことはないが、あの方のことだからきっと俺に負けず劣らずの可愛がりっぷりに違いない。 と、これだけ話せば俺がどれだけゆっくりのことが好きか分かってもらえたと思う。 でも、俺ののろけ話は108まであるんだ。つまり、まだまだ始まったばかりだ。 ・・・・・・とは言え、さすがに見ず知らずの相手に108もののろけ話を聞かせるわけにもいかないから、一つだけ取っておきの奴を聞いていってほしい。 のろけ話であると同時に自慢話でもあるんだが、実は最近オリジナルのゆっくり飼育グッズで特許を取ったんだよ。 幻想郷に特許なんて概念があるのか?なんて細かいことは気にしないでくれ。 その特許商品ってのはハムスターボールっていうハムスターを屋内で散歩させるための道具から着想を得たもので、ゆっくりボールって名前のプラスチックの球なんだ。 使い方は簡単、出産間近のゆっくりのそばでこのボールを用意して待機、子ゆっくりが生まれた瞬間にそのボールの中に閉じ込めるんだ。 ちなみにボールのサイズは生まれたてのゆっくりの平均的なサイズに合わせてある。勿論空気穴もストローが通るくらいのを14箇所ほど空けてある。 あ、そうそう・・・ゆっくりの産まれ方には果実みたいに親から生えた茎になるタイプと卵生タイプ、妊娠タイプの三種類があるが、どのタイプで産まれるにしても捕獲できるようになったら出来るだけすぐにボールに入れるのが望ましい。 次に、できるだけ素早く他の家族ゆっくりを原形をとどめない程度に破壊する。 一見可哀そうに見えるが、これもゆっくりのためなんだ。 ボールに閉じ込められたゆっくりが他のゆっくりを見てしまったら、自分だけ何かおかしいことに気付いてしまうだろ? そうなったらアイデンティティが崩壊して心が壊れてしまうかもしれない。そうならないために他の家族ゆっくりを破壊するんだ。 勿論、潰したゆっくりは子ゆっくりに食べさせよう。 こうして子供を無事出産して役目を全うした親ゆっくりは子供の血肉、じゃなくて餡皮となって子ゆっくりとともに生きていくんだ。なんて美しい!! ああ、そうそう・・・最後になったけど、このボールにはどんな効能があるのか説明させてもらうぞ。 こいつには10以上ものゆっくりに幸せを提供するための素敵な効能がついているんだ。 1つ目。子ゆっくりを大きくさせない機能がある。 人間でもそうだけどさ、大人になるってことは社会の荒波にもまれて汚れていくことだと思うんだよ。 でもさ、こんなに可愛いゆっくり達がそんな風に汚れてしまうなんて可哀そうだろ? で、ゆっくりが大人になるためには身体的な成長と、中身つまり餡子の増量が不可欠なはず。 ということは、身体の成長を抑えれば容積も抑えられ、おのずと大人になることが出来なくなるはずじゃないか? このゆっくりボールの当初の目的はこの成長阻害・・・いや、ずっと子供のままゆっくりさせてあげることにあると言っても過言ではない。 勿論、効果は抜群だった。こいつにいれたゆっくりは皆、純真無垢な子供のままだったよ。 2つ目。野生種はしない(と思われる)排泄を促す。 こいつは俺もびっくりしたことなんだが、野生種は食ったものがどうなるのか全く解明されていない。しかし、排泄をしないならどう考えても生涯に食する量と増加する体積が一致しない。 こんな常識的にありえない状態が健康なわけがないと思わないか?でも、ボールに入れたゆっくりは空気穴を使って餡子に似たウンコを排泄する。 つまり、野生種の永遠の悩みである死ぬまで続く便秘か解消されるってわけだ。 え、成長が阻害されたせいで膨張した中身が飛び出しただけじゃないかって? はははははは、そんなわけないじゃないか。ゆっくり愛好家の俺が言うんだから間違いない! 3つ目。ゆっくりが狭い場所に挟まらないようにする。 これは何気に重要なんだ。狭い場所に挟まって皮が剥けて中身があふれ出したとか、狭い場所に落下して皮がずる剥けになったり、挟まって動けなくなったところを外敵に襲われたってのは幼いゆっくりの死亡原因としてはかなりの上位に食い込む。 でも、こいつを装着していればプラスチックが皮を守ってくれるし、そもそも挟まって動けなくなるような場所に嵌り込むようなことがなくなる。 まあ、最初から挟まってるようなものだから当然といえば当然かもしれないけどな。 4つ目。むやみに飛び回らなくなる。 飼っているゆっくりが飛び跳ねて大事なものを壊してしまったなんて話はよく聞くが、こいつの中に入っていれば飛び跳ねるなんてことはまず出来ない。 せいぜい転がって移動することくらいだが、完全に押さえつけられている状態だから自分の意思で自由に転がすことは出来ない。 つまり、自分の意思では飛び跳ねるどころか、転がり回ることすら満足に出来ないってわけさ。 これならゆっくりが勝手に家のものを壊すなんてことはなくなるだろ? 5つ目。他人のものを勝手に食べなくなる。 というか、食べようがなくなるだけなんだけどな。まず動けないわけだし。 ストローサイズの空気穴から与えられた食べ物しか食べられないんだから、他人の畑の作物を荒らすなんてことは当然なくなるよな? すると、畑を荒らされてぶち切れた農家のおっさんに潰されるなんて悲劇は起きなくなる。 6つ目。大きな声で「ゆっくりしていってね!」などと叫ばなくなる。 「ゆっくりしていってね!」というのはゆっくり達が頻繁に口にする言葉なんだが、こいつが朝一番の鶏の鳴き声にも負けないくらいやかましいんだ。 でも、このボールに入った状態であれば全身を完全に押さえつけられているわけだから、当然口だって満足に動かせない。 その上、プラスチックケースで声が大分遮断されるから、外部に漏れるのは「うっうりいえいっええ」とか言うわけの分からん呻き声だけ。 これなら近所迷惑になることもないし、下手に泣き声を上げて仲間を呼び寄せてしまうような事態も回避できる。 それにゆっくり魔理沙の場合、生意気なことを言わなくなるから可愛さ3割増しと良いこと尽くめだ。 7つ目。他人に勝手に殺されなくなる。 野生種がプラスチックケースに入っていることなんてありえないんだから当然だよな? 8つ目。坂から転げ落ちても大丈夫。 ゆっくりってのは鈍くさいから、何かにつけて坂から転げ落ちるんだよ。 現に、このボールに入れたゆっくりも散歩させてやっている時に幾度となく転げ落ちたもんだ。 跳ねるなり、踏ん張るなりすればいいのに。 そんな鈍くさいこいつらだが、プラスチックボールがあれば転がったときに皮が剥けることもないし、硬いものにぶつかったときに中身をぶちまけることもなくなる。 9つ目。捕食者に襲われても安心。 さっきも言ったようにこいつらはとにかく鈍くさいからさ、外敵に襲われても逃げるってことをしないんだよ。 実際、俺がこのボールに入れて飼っていたゆっくりは外敵に襲われそうになっても全く逃げようとしなかった。 跳ねるなり、転がるなり、狭い穴に逃げ込むなりすりゃいいのにな。 でも、このボールの中にいればゆっくりゃやゆフランに襲われた程度なら命を落とさずに済む。 あ、ゆっくりゃとゆフランってのはゆっくりを捕食するゆっくりのことだ。 10つ目。遊び道具として最適。 この中にいる限りゆっくり達は普段以上にゆっくりしているから、少し悪戯をしても文句一つ言わない。 それどころか、大抵のゆっくりは歓喜の涙を流しながら「おえあうっうりえいあいお~」とか「あええ~」とかものすごく楽しそうな声で鳴きまくるくらいだ。 それに、このプラスチックボールはなかなか頑丈でな、大人の力で蹴っても至近距離で壁にぶつかりでもしない限りなかなか壊れない。 おかげで、普段ゆっくりとは出来ないようなサッカーみたいな激しい遊びだって問題なく出来るんだ。凄いだろ? 11つ目。ゆっくりアリスにレイプされない。あるいはしない。 これもゆっくりの命を守る上では必要不可欠な要素だ。何せゆっくりアリスによるレイプはゆっくり魔理沙の死因のTOP3に入るからな。 だけど、このボールの中にいれば前戯がちゃんと出来ないし、種付けだって極めて困難だ。だからアリスに犯し殺されることがなくなるんだよ。 でも、このボールの凄いところはそれだけじゃない。ゆっくりアリスもゆっくり魔理沙とずっと一緒にいられるから大喜びするんだ。 最初に実験したゆっくりアリスはずっと一緒にいられるのがよほど嬉しかったのか、3日間くらいボールに体をこすりつけ続けていたな。 それから「何で子供が生まsqんくせgkうぇdgyrdhんcmbwmrdんcs」と狂喜しながら逝ったよ。 嬉しすぎて死ぬゆっくりなんてあの時初めて見たよ・・・。あの時ほどゆっくりボールを作ってよかったと思った日はないね。 12つ目。機能拡張キットや工夫次第で遊びが更に広がる。 簡単なところだと紐をつけてハンマー投げができるな。プラスチックケースの破損が心配ならガムテープをしっかり巻きつけておけば良い。 他にはボールをムチでたたいて回転させ続ける朝鮮式の独楽として使用することも出来る。 ・・・いや、無限大の応用こそゆっくりボールの肝だから、あまりあれこれ話しすぎると面白みがなくなってしまうな。 これ以外の応用は自分で探してみてくれると嬉しい。 ゆっくり好きの、ゆっくり好きによる、ゆっくり好きのための至高のアイテムゆっくりボールは外界価格で980円。みんな、気が向いたら買ってくれ!! ‐‐‐‐‐‐‐‐あとがき‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ ホスト規制が悲しくて、書けもしないSS?を書いてみた。 が、あまりに誤字多かったのでちょいと訂正して再うp。 今後はきちんと推敲しようと思いました。 ゆっくりが可愛くて仕方がない俺にはゆっくり虐待なんて全く理解できないよ・・・! 俺の想像力じゃ、よりベターにゆっくりボールを用いたゆっくりの可愛がり方が思いつかないんだ。 何か面白い遊びはないものか? このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/588.html
「厳しいゆっくり」 そのゆっくり一家の様子は、普通とは何かが違っていた。 一家を率いるのはバレーボールサイズのゆっくりまりさ。そこは何もおかしくない。 ついていくのはゆっくりまりさとゆっくりれいむ。数は大体半々ぐらい。そこもおかしくない。 普通とは何が違うのか…その違いは、話しかけてみて始めて分かった。 「ゆっくりしていってね!!」 ゆっくりの本能を深く揺さぶる、僕の一声。 普通なら、この言葉に反応しないわけがなかった。ところが… 「……ゆっ!」「…ゆ!」 子供たちは皆、少し声を漏らしただけ。 何か言いたげな顔はしているが、『ゆっくりしていってね!!』という元気な返事は返ってこなかった。 「おにーさん!!まりさたちはほかのばしょでゆっくりするからね!! なにもようがないなら、まりさたちはもうゆっくりいくよ!!」 先頭に立っている母まりさが、僕に向かって言ってくる。 こいつからも元気な返事はない。おかしいな…こいつら病気なのか? 試しに、もうちょっと揺さぶってみるか。 「まりさ、どこに行くのか知らないが、お兄さんはもっとゆっくり出来る場所を知ってるよ」 「ゆ!?そうなの!?ゆっくりちゅれていってね!!」「れいむもゆっくりしたいよ!!」 もう我慢できない、と言わんばかりに子ゆっくりたちが口を開いた。 そうそう、それが普通の反応である。だが、母まりさは普通ではなかった。 「ゆ!!そんなこというとゆっくりできないよ!!」 「ゆ゛!!」「びゃっ!!」 何も悪いことをしていないのに、母まりさに突き飛ばされた子ゆっくりたち。 転がるほどの勢いも、皮が破れるほどの破壊力もない、ただ痛いだけの攻撃だった。 子供たちは涙目で何かを無言で訴えてくるが、僕にも母まりさにも…何も伝わらない。 「おにーさん!!わるいけどまりさたちはゆっくりいそいでるからね!!じゃましないでね!!」 そう言い放つと、母まりさはとっとと先へ進んでいってしまった。 子供たちだけが、僕を名残惜しそうに見上げていたが… 「…ゆっくりしすぎだよ!!」 母の一言で、子供たちは飛び上がるようにして母の後を追いかけていった。 あの母まりさ、どう考えても普通じゃない。 『ゆっくりしていってね!!』『もっとゆっくり出来る場所がある』という二つの言葉。 ゆっくりの本能を最も刺激するはずの言葉に、母まりさは釣られなかった。 突然変異なのか、それとも病気なのか… 「こいつは面白そうだな…」 どちらにしても、この面白そうなネタを放っておくわけにはいかない。 僕は先ほどの一家をゆっくり追いかけることにした。 一家の巣はすぐに見つかった。木の根元に、精妙にカムフラージュされた大きな穴だ。 決して大きな穴ではないが、母まりさ+数匹の子ゆっくりなら十分な広さだろう。 僕は静かに巣穴に近づいて、隙間から中を覗いてみた。 「にんげんにはなしかけられても、しゃべっちゃだめっていったよね!!」 「ゆびゃああああぁぁl!!」 「みんな、おかーさんとのやくそくやぶってしゃべっちゃったよね!!」 「ぎゅべぇおおおおお!!」 「やくそくをやぶったわるいこはゆっくりできないよ!!おしおきだよ!!」 「あぎゅあああぁっぁ!!!」 合計5匹の子ゆっくりが一列に並んでいる。 よく見れば子ゆっくりというより、赤ちゃんゆっくりぐらいの大きさだ。 母まりさは、何か言葉を発するごとに子ゆっくりに一匹ずつ体当たりを食らわせる。 その勢いは母まりさの怒りに比例して強くなり…最後に体当たりされた子れいむは、壁にぶつかると口から 餡子を大量に吐き出してしまった。 ゆっくりにとって、命の源である餡子を吐き出すことは一大事だ。 処置を怠れば、死に至ることだってある。それは子ゆっくりもよく知っていた。 「うぶっ!!ゆべえええぇっぇぇえ゛え゛え゛ぇぇぇあ゛あ゛あ゛ぃ!!!!」 「ゆゆ!!おかーさん!!れいむが!!れいむがゆっきゅりできなくなっちゃうよ!!」 「ゆっくりたしゅけてあげてね!!ゆっくりなおしてあげてね!!」 周りの子ゆっくりたちが、必死に母親に助けを求める。 だが、母まりさは鼻で笑いつつこう言い返した。 「ふん!やくそくをまもれないバカなこは、ずっとそうしてゆっくりしてればいいよ!! みんなもやくそくやぶるとこうなっちゃうからね!!ゆっくりりかいしてね!!」 自分の仕事を成し遂げたと思っているのか、母まりさの顔は満足げだ。 それに対して、子ゆっくりたちの表情は完全に沈んでしまっている。 「子供を虐めるなんて…酷い母親だなぁ」 僕はくすくすと笑いながら、そのまま様子を観察し続けた。 母が食料を取りに出かけた後、しばらくして先ほど餡子を吐いた子れいむが目を覚ました。 「ゆ…ゆううぅぅ……!」 「ゆ!ゆっくりおきてね!!」「ゆっくりしていってね!!」 周りで見守っていた子ゆっくりたちが喜びの声を上げる。 気絶していた子れいむは特に外傷はないらしく、次第に元気を取り戻してゆっくりし始めた。 僕は母まりさがいなくなった今しかないと思い、巣穴に首を突っ込んだ。 「やあ!ゆっくりしていってね!!」 「ゆ?ゆっくりしていってね!!」 今度は5匹の子ゆっくり全員が応えてくれた。 やっぱり、普通じゃなかったのはあの母まりさに原因がありそうだ。 「さっきのおにーさん!!どうしたの!?」 「ここはれいむたちのおうちだよ!!ここでゆっくりすると、おかーしゃんにおこられちゃうよ!!」 怒られるというのは…たぶん“やくそく”のことだろう。 先ほどの様子からしてこの子ゆっくりたちは、母まりさと幾つか約束を交わしているらしい。 それらを破ると、先ほどのように罰を受ける…命に関わりかねない罰を。 つくづく理不尽な母親である。自分の都合を押し付けて、破ったら虐待だなんて。 「大丈夫だよ。すぐに出て行くからね。それより、皆に美味しい食べ物を持ってきたよ」 「ゆ!?たべもの!!ほちいよ!!ゆっくりちょうだい!!」「ちょうだいちょうだい!!」 クッキーを放り込んでやると、5匹の子ゆっくりは一斉に群がって貪り始めた。 母との約束という重圧を忘れた5匹は、本能に忠実な普通のゆっくりだった。 「ゆはっ!!うっめ!!めっちゃうっめ!!」「むーしゃむーしゃ!!しあわせー♪」 「じゃあお兄さんはもう行くからね。みんなはゆっくりしていってね!!」 って、食べ物に夢中だからたぶん聞こえてないな。 僕は食事を邪魔しないよう、追加のクッキーを数十枚放り込んで、静かにその場から立ち去った。 後ろからは、クッキーを貪り食う子ゆっくりの下品な声が聞こえてくる。 母まりさが帰ってくる頃に戻ってきて、“あれ”を実行することにしよう。 帰ってきた母まりさは、巣の中の様子に驚愕した。 一面を埋め尽くす見慣れぬ食べ物。それを美味しそうに食べている5匹の子供たち。 「ゆ!おかーしゃんおかえりなさい!!」「みんなでゆっくりしようね!!」 口の周りに食べかすをつけた子供たちが、出迎えの挨拶をする。 だが、母まりさはそれに応えない。 「これはだれからもらったの!?ゆっくりせつめいしてね!!」 母まりさの疑問は当然のものだった。子供たちが自力で食料を集められるわけがない。 しかも、5匹が食べきれないほどの量だ。母まりさだって、これだけの量を集めるのには2週間はかかる。 つまり当然の結論…『この食べ物は、誰かからもらった』 「ゆ……と、ともだちのまりさにもらったんだよ!!」「そ、そうだよ!!」 「うそをつかないでね!!にんげんからもらったにきまってるよ!!」 「ゆ゛!?」 母が真相を口にした瞬間、子供たちは固まってしまった。 “恐怖”…生まれたときから植えつけられてきた感情、たった一つに縛り付けられて。 約束を破ったことが母にバレた…その次に待っているのは、無慈悲な“罰”であることを知っているから。 横一列に、背を壁に向けて並べられた子供たち。 自分達のこれからを想像して、がたがたと震えている。 されることはいつもと同じ。だが、未だにその痛みに慣れることが出来ない。 「やくそくをやぶったらゆっくりできないよ!!」 「ゆぎゃああ゛あ゛ぁぁ!!」 「やくそくやぶるこは、おかーさんのこどもじゃないよ!!」 「ごみんあじゃあぁぁぁい゛い゛!!」 「にんげんとはゆっくりできないよ!!ゆっくりおぼえてね!!」 「もうゆるじでええぇぇぇぇえ゛!!」 「にんげんはわるいものだよ!!ぜったいゆっくりしちゃだめだよ!!」 「うがやおああおおおおぉおぉぉ!!」 壁と母まりさの身体で挟み撃ちにされる度に、悲痛な叫びを上げる子ゆっくりたち。 何度も何度も、何度も何度も、何度も何度も、何度も何度も。 繰り返し繰り返し、母まりさは5匹の子ゆっくりに順番に体当たりする。 『人間とはゆっくりできない』『人間と一緒にゆっくりしたら二度とゆっくりできなくなる』 全ては理解してもらうため。このことを理解して、覚えてもらうためだ。 自分は母に人間の危険性を教えてもらっても、すぐに忘れてしまった。 そして人間についていったばっかりに、友達を皆食べられてしまった…そんな自分の二の舞にならないように。 子供たちには忘れて欲しくない。ずっと覚えていて欲しい。だってそうしないとゆっくりできないのだから。 「がまんしてね!!がまんしてゆっくりできるこになってね!!」 「げりょうあおあおあおあおああああああ!!!」 母まりさは、何度も何度も、子ゆっくりたちに伝わることを願って…体当たりを続けた。 昼になって、例の巣に戻ってきて見ると…巣の中では再び虐待が行われていた。 母まりさが子ゆっくりに体当たりするたびに、張り裂けんばかりの悲鳴が僕の耳を突く。 「うぎゃあ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁぁぁぁぁ!!!」 「ぎゅええええべべべべええ!!!」 「あばばばばあああああぁぁぁぁあ!!」 何故だか分からないが、母まりさは相当怒っているらしい。 母まりさの言葉は乱れすぎていて何と言っているか聞き取れないが…かなりノリノリである。 待てど暮らせど、虐待の嵐はなかなか止まない…痺れを切らした僕は、釣り針を握るとそっと巣の中に手を 突っ込んだ。 「……よし」 虐待に夢中になっている母まりさは、自分の帽子に釣り針が刺さったことに気づいていない。 子ゆっくりたちも、すっかり怯えきってしまって周りの様子など目に入っていなかった。 僕は、糸を思いっきり引っ張った。それに従って、母まりさの帽子が脱げて瞬く間に巣の外へ飛んでいく。 「ゆ!!まりさのぼうし!!ゆっくりまってね!!」 即座に異変に気づいた母まりさは、帽子を追って巣の外へ。 終わりなき虐待から開放された子ゆっくりたちも、安堵の表情を浮かべながら恐る恐るついてくる。 「おにーさん!!それはまりさのぼうしだよ!!ゆっくりかえしてね!!」 糸にぶら下がった帽子をぶらぶら振り回す僕。 まりさは必死にジャンプしてそれを口で咥え取ろうとするが、ぎりぎり届かない高さに調節しているので、 どんなに頑張っても…帽子まで後一歩、というところで勢いを失ってしまう。 「ゆぎゅうううぅぅぅ!!ゆっぐりがえじでね゛!!がえざないどゆっぐりざぜであげないよ゛!!」 「あっそう、じゃあ返してあげるよ、ほーれほーれ♪」 上から目線で物を言う母まりさを、僕は満面の笑みでおちょくる。 ぶんぶん振り回される帽子を目で追いながら、あんぐりと口を開けて狙いを済まして… 命と同じくらい大事な帽子を奪い返そうと、必死にピョンピョン跳ね続けている。 「うぎゅうううぅぅぅ!!!いじわるしないでね゛!!ゆっくりがえじでね!!」 ふと、巣の入り口近くにいる子ゆっくりたちに視線を移す。 さっきからじっとこっちを見ているが…母を応援する声は聞こえてこない。 普通の一家なら、『おかーさんがんばってねぇ!!』とか、『おにーさんとはゆっくりできないよ!』の 一言ぐらいあるものだが… つまり、そういうこと。子ゆっくりたちにとって、母まりさは“そういう”存在なのだ。 「お母さんまりさにひとつ提案だよ。子供の帽子かリボンを持ってきたら、この帽子と交換してあげる」 「ゆ!?」 果たして口車に乗って、子供の髪飾りの強奪に乗り出すかどうか… 僕にとっては一種の賭けだったのだが…どうやら僕の勝ちだったようだ。 母まりさは目の色を変えて、巣の入り口に集まっている子ゆっくりたちに襲い掛かった。 「ゆっくりにげないでね!!おかーさんにぼうしとりぼんをちょうだいね!!」 「おがーざんごっじごないでえ゛え゛ぇぇぇ!!!」 「ぞんなごどずるおがーじゃんどはゆっぐりでぎない゛い゛い゛い゛ぃぃぃ!!!」 子ゆっくりにとっても、帽子やリボンは大事なものだ。簡単に取られるわけがない。 母まりさに捕まらぬよう、子ゆっくりたちは蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。 「ゆっくりつかまってね!!にげるこはゆっくりできなくなっちゃうよ!!」 「やだあああぁぁぁぁ!!!づがまるどゆっぐりでぎないよ゛!!」 「おがーざんやめでね゛!!ゆっぐりごっぢにごないでね゛!!」 母と子には体格差があると言っても、命と等価のモノがかかっているこの状況では、子供たちはなかな捕まらない。 実のところ、先ほどのクッキーにはゆっくりの運動能力をちょっとだけ強化する薬物が入っていたのだが… 母まりさも、当の子ゆっくりたちもそのことにはまったく気づいていない。 「おがーざんにぼうしどりぼんちょうだい!!そうすればみんなでゆっぐりでぎるよ゛!!」 なかなか追いつかないので、目に涙を浮かべながら子供を説得しようとする。 しかし、そんな言葉で釣られるほど子ゆっくりは愚かではなかった。 「おがーざんうそづいでるよ!!うそづくおがーじゃんどはゆっぐりでぎないよ゛!!」 「ゆっぐりついてこないでね゛!!ゆっくりどっかいってね゛!!」 「ゆぐぐぐぐぐ…どうじでぞんなごどいうの゛!!ゆっぐりでぎなぐなっでもしらないよ゛!!」 まだまだ子ゆっくりたちには追いつきそうにない母まりさ。 僕は母まりさにもっと必死になってもらうために、ライターで母まりさの帽子に火をつけた。 ボオォッ!! 何の素材で出来ているのかわからないが、本当によく燃える。 「ゆぎゃああああーーー!!!まりさのぼうしもやざないでえ゛え゛え゛ぇぇぇ!!!」 子ゆっくりを追いかけるのを止めて、燃え上がる自分の帽子目掛けて飛びついてくる母まりさ。 だが、僕がうまく糸を動かして帽子をひょいっと遠ざけたので、母まりさはそのまま地面に激突した。 「ゆぶっ!!やめでね゛!!まりざのぼうじもやざないで!!はやぐひをげしでよお゛お゛お゛ぉぉぉ!!!」 「まぁまぁ焦るなって。結構綺麗に燃えてるじゃないか」 地面に顔から落ちて身悶えている隙に、母まりさの髪を釘に結び付けて地面に打ちつけた。 これで母まりさは、ほとんど身動きが取れなくなった。 「ひをげしで!!うぶゅ!!いだい゛!!いだいよ゛!!がみがひっばられでるううぅぅぅぅ!!!」 帽子を燃やされている悔しさと、髪を引っ張られる痛みで…母まりさの顔は涙でボロボロになる。 痛みにのたうち回ろうとすればさらに痛みが襲うので、下手に動けない状況だ。 それでも母まりさは、何度も何度も助けを求める叫び声をあげた。 「まりさをだずげでぇ!!ごのままじゃゆっぐりでぎなぐなる゛!!」 「おねがいだがら!!ごっがらはなぢでえええぇぇえ!!!あだまがいだいいいいぃぃぃい!!!」 「ぼうじ!!まりざのぼうし!!もやざないでよ゛ぅ!!」 「……らんぼうするおかーしゃんは、ずっとそこでゆっくりしてればいいよ!!」 突然、一匹の子れいむが震えながら力いっぱい言い放った。 するとそれに続いて、次々と子ゆっくりたちが母まりさに罵詈雑言を浴びせる。 痛めつけられる母まりさの姿を見て、子ゆっくりたちの心境に変化が生じたのだろう。 母まりさが動けないことに気づいた、というのもあるだろうが。 「そうだそうだ!!おかーしゃんのぼうしなんか、ゆっくりもえちゃえばいいよ!!」 「おかーさんはずっとそこでゆっくりしててね!!こっちにこないでね!!」 「ばかなおかーさんはゆっくりしねばいいよ!!」 「いや゛ああぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁ!!ひどいごどいわないでえ゛え゛え゛ええぇぇぇぇえぇえぇ!!!!」 次々に打ち明けられる子ゆっくりたちの本音が、母まりさの心を深く抉る。 今まで母まりさに虐待され続けてきた子ゆっくりの鬱憤が……ここで爆発した。 「ゆっくりしね!ゆっくりしね!」 「らんぼうもののおかーさんはゆっくりしね!!」 「れいむたちにいたいことしたよね!!だからおかーさんにもいたいことしゅるよ!!」 身動きの取れない母まりさを取り囲んだ5匹は、怒りを爆発させながら集団リンチを始めた。 つい数分前まで母の虐待に怯えていた子ゆっくり…僕がちょっと手伝ってやっただけで、立場は逆転した。 「いだっ!!いだいよ゛!!ゆっぐりやめでね゛!!やめだらゆっぐりさせてあげるよ゛!!」 「うるさいよ゛!!おかーさんのいうごとなんか、もうきかないよ゛!!」 「おかーさんのせいでいままでゆっくりできなかったよ!!ゆっくりしんでいってね!!」 一体どれだけの間、母まりさに虐待されてきたのだろうか…その間に溜めてきたストレスは相当のものらしい。 容赦ない体当たりが、母まりさの身体を深く傷つけていく。 ところどころ餡子が漏れ出し、さらに傷は広がって痛みを誘発させる。 「あぎゃああああああっぁぁぁあぁ!!やめでやめでやめでやめでやめでやめでやめで!!!! じぬ゛ぅ!!じんじゃう゛!!ごのままじゃじんじゃう゛!!おねがいだがらやめでよおおおおぉぉぉ!!」 母まりさの悲鳴を完全に無視し、リンチを続ける子ゆっくりたち。 僕はそんな子ゆっくりたちに優しく話しかけた。 「そろそろ疲れてこない?お母さんの帽子が燃えてるのを見ながら、ゆっくり休憩しなよ」 「ゆ!そうだね!!ゆっくりつかれてきたよ!!」 「ゆっくりやすもうね!!みんなでゆっくりしようね!!」 「おにーさんあたまいいね!!おかーさんとはおおちがいだよ!!」 そんなことを言いながら、母まりさから離れていく。 取り残された母まりさの姿は…それはもう酷いものだった。 「ゆぶ……どぼぢで…?……まりざはっ…みんなのだめにっ…!!」 目玉は片方が抉られ、口は不細工に引き裂かれ、頬も深く噛み千切られている。 まだ生きているが…このまま餡子を漏らし続ければ、命が尽きるのは時間の問題だ。 「ゆー!きれいだね!!」「ほのおってきれい!!」「ゆっきゅりー!!」 「もえろもえろー♪」「ゆっくりもえろー♪」 炎をあげて燃える母まりさの帽子。それを見つめる子ゆっくりたちの目は輝いている。 やっと母まりさの圧制から解放される。明日からは自由にゆっくり出来る。 掴み取った明るい未来を見据えた…そんな目だ。 僕は糸を木の枝に固定して子ゆっくりたちから離れると、そっと母まりさに近づいた。 「やぁ、気分はどうだい」 「うぎゅ…だじゅげで……ゆっぐりでぎな…いよ…!!」 「でも、子供たちは今までゆっくり出来てなかったんだよ。お母さんである君が虐めていたせいでね」 「うぞだよ!……まりじゃは!…まりじゃは……みんな゛のっ…ために゛…!」 まだ悪あがきを続けている。うねうねと動く母まりさの頬の皮が気持ち悪い。 「みんなのために……ねぇ」 僕はため息をつきながら振り向いて、子ゆっくりたちに声をかけた。 子供たちは糸にぶら下がった帽子が燃えているのを、まだ楽しそうに見物している。 「なぁみんな!!このお母さんどうする?助けてあげる?」 「ゆ?そんなのほっといていいよ!!それよりおにーさんもこっちでゆっくりしようね!!」 「おかーしゃんなんかそのまましねばいいよ!!ゆっくりしんでね!!」 との返答を貰い、そのまま視線を母まりさに戻す。 「…だとさ」 僕は母まりさに向けてニコリと微笑んだ。 母まりさは、僕にとって最高の表情をしたまま…最期の叫び声をあげた。 「ゆ゛っ……ゆぎゃああああぁあぁぁぁぁぁぁぁあがえんrぎなえりおいりあがあrがにrg!!!!」 声にならない叫びをあげたが最後、母まりさは動かなくなった。 子供たちにはずっとゆっくりしてもらいたい。だからこそ、厳しく接してきた。 だが、子供たちには伝わっていなかった。それどころか家族を崩壊させる一因になってしまった。 どうしてこんなことになってしまったのか、自分は間違っていたのだろうか。 母まりさは考える。考える。考える。でもわからない。餡子が足りないからわからない。 子供たちに伝わらなかった想い。伝わらなかった願い。 一生懸命伝えたつもりだった。でも、伝わらなかった。伝えたかったのに、伝わらなかった。 そしてこれからも、その想いと願いは、伝えることはできない… 傍らで笑いあう子供たちの声が、遠くに聞こえる。 母まりさは、ゆっくりと後悔しながら…さいごのいのちを吐き出した。 あとがき この話、本当にかわいそうなのは誰だろう? 作:避妊ありすの人 このSSに感想を付ける